秋が深まってくると、あんこを口にする機会が少しずつ増えてきますね。
お月見のお団子に添えるあんこ、お彼岸のおはぎ、肌寒くなってきた日のぜんざいなど、「せっかくなら、小豆から炊いてみようかな」と思うことはありませんか。
とはいえ小豆となると、「乾燥小豆は一晩水に浸けないといけないの?」「渋切りって必要?」「何分茹でればやわらかくなるんだろう」と、工程ごとに迷ってしまう方も多いかもしれません。
でも実は、小豆はほかの豆と違い、前日から浸水させる必要がありません。洗い始めてから味付けを終えるまでの目安は、2時間半ほどです。その多くは、鍋に任せておける時間です。
この記事では、小豆の基本的な茹で方を工程ごとにご紹介します。やわらかく仕上げるコツや圧力鍋・炊飯器を使った時短の方法、保存方法まで、ぜひ参考にしてみてください。
小豆の基本の茹で方

ここでは、乾燥小豆200gを使い、鍋でやわらかく茹でて味付けするまでの手順を紹介します。
- 小豆を洗って水から茹でる
- 沸騰したら火を止めて20分ほど置く
- 煮汁を捨てる(渋切り)
- 渋切りした小豆を新しい水で1時間程度茹でる
- 指でつぶして茹で上がりを確認する
- 火を止めて30分ほど置く
- 小豆と水分量を調整して砂糖を加える
- 塩を入れなじませたら完成
材料
小豆の基本的な茹で方では、乾燥小豆200gと、味付けに使う砂糖・塩を準備します。
用意する分量は、次のとおりです。
- 乾燥小豆:200g
- 砂糖:140~200g
- 塩:小さじ1/4(約1.5g)
砂糖の使用量は乾燥小豆の70~100%にあたり、200gの小豆なら、あっさり仕上げるときは140g、甘みを強く出すときは200gが目安です。
塩は仕上げに加えるため、砂糖とは分けて用意しておいてください。
小豆を洗って水から茹でる
小豆を茹でる前に、粒の選別と水洗いを済ませます。
虫食いの粒や大きく割れた粒、色の異なる粒を先に除き、小豆は水を何度か替えてさっとすすぎましょう。
洗った小豆を深さに余裕のある鍋へ移し、豆の2~3倍量を目安に水を注ぎます。
すべての粒が水に浸かっていることを確かめ、そのまま中火にかけましょう。
沸騰したら火を止めて20分ほど置く
鍋の水が沸騰したら火を止め、すぐに蓋をして、そのまま20分ほど置いてください。
待っている間はかき混ぜたりせず、そのままにしておきましょう。
この間に小豆が水を吸い、渋みのもとがゆで汁へ出ていきます。
煮汁を捨てる(渋切り)
蒸らし終えた小豆はざるにあけ、最初に使った煮汁をすべて捨てます。
鍋を傾ける際は、熱い煮汁がはねやすいので、ゆっくり傾けると安心です。
茹でる途中で煮汁を捨てる作業を「渋切り」といい、基本の茹で方では1回だけ行います。
渋切りした小豆を新しい水で1時間程度茹でる
渋切りを終えた小豆は、新しい水に替えて約1時間加熱します。
ざるに上げた小豆を鍋へ移し直し、乾燥小豆200gの5倍に相当する約1Lの新しい水を注いで、中火で加熱を始めます。
再び沸騰したら火を弱め、泡状のアクが浮いた場合だけ、お玉ですくい取ってください。
水位が下がったときは、小豆が煮汁から出ないよう、少量ずつ差し水をしながら茹でましょう。
指でつぶして茹で上がりを確認する
小豆は、指で軽く押しただけで形が崩れ、中心に白い芯がなければ茹で上がりです。
火を止める前に数粒をすくい、やけどしない温度まで冷ましてから指先でつぶしてみてください。
力を入れないとつぶれない粒や、中心に白い芯が残る粒があれば、5~10分追加で加熱して再確認しましょう。
砂糖を入れない場合も、このあと30分ほど蒸らして完成です。
火を止めて30分ほど置く
茹で上がりを確認した後は、すぐに味付けせず、30分ほど蒸らします。
火から下ろして蓋をし、小豆を煮汁に浸した状態でそのまま置きましょう。
余熱で小豆全体に水分が行き渡るため、粒ごとの煮え方のばらつきを抑えられます。
小豆と水分量を調整して砂糖を加える
砂糖を入れる段階では、先に小豆と煮汁の割合を調整します。
煮汁が小豆の高さの半分ほどになるよう、不足している場合は水を補い、煮汁が多い場合は取り除きましょう。
鍋を中火にかけ、用意した砂糖140~200gを3回に分け、溶けたことを確かめながら加えます。
煮立った後は弱火で5~6分加熱し、鍋を軽く揺すって小豆に甘みをなじませます。
塩を入れなじませたら完成
最後の味付けとして、用意しておいた塩小さじ1/4を加えます。
小豆をつぶさないよう、へらをゆっくり動かして塩を煮汁に溶かしてください。
塩が溶けて全体に味がなじんだら、甘く煮た小豆の完成です。
小豆の浸水と渋切りの必要性

小豆はほかの乾燥豆と下ごしらえの方法が異なり、基本的には浸水せずに茹で始められます。
ここでは、一晩水に浸ける必要がない理由と、最初のゆで汁を捨てる「渋切り」の目的について解説します。
小豆は基本的に一晩浸水させなくてよい
乾燥小豆は、洗ったあと一晩水に浸ける必要がなく、そのまま茹で始められます。
多くの乾燥豆では、煮る前に十分に吸水させ、粒ごとの火の通りをそろえるのが一般的です。
一方、小豆は水を取り込む場所が限られており、一晩浸けても吸水状態が粒ごとにそろいにくいのが特徴です。
そのため、家庭で小豆を茹でる場合は、長時間かけて戻すよりも、洗った豆を水から加熱する方法が適しています。
渋切りは渋みや苦味を抑えるために行う
渋切りを行うと、小豆の渋み・苦味・えぐみがやわらぎ、すっきりとした味に仕上がります。
加熱中に泡となって浮いてくるサポニンなどの渋みのもとがゆで汁へ溶け出すため、最初のゆで汁を取り除くと雑味を抑えられます。
一方、煮汁を捨てるたびに香りやポリフェノールも一緒に除かれ、小豆らしい風味は薄くなっていきます。
回数に明確な決まりはないため、基本の茹で方では1回を目安にし、好みの味わいに合わせて調整するとよいでしょう。
小豆をやわらかく茹でるコツ

小豆をやわらかく仕上げるには、火加減や水量、砂糖を加えるタイミングを意識することが大切です。
豆の状態に合わせた茹で時間も含め、硬さが残ったり煮崩れたりするのを防ぐコツを解説します。
弱火で小豆が踊らないように茹でる
小豆が再び煮立ったら火力を落とし、粒が大きく揺れない程度に調整してください。
火力が強すぎると鍋の中の流れが激しくなり、ぶつかった粒の皮が裂けたり、形が崩れたりします。
鍋底から小さな泡が数個ずつ上がり、表面がわずかに揺れる程度を目安に火加減を調整しましょう。
弱火にしても豆が動く場合は、落とし蓋を小豆の上にのせると、豆の動きを抑えられます。
小豆が水面から出ないように差し水する
小豆をむらなく茹でるには、すべての粒がゆで汁に浸かった状態を保つことが重要です。
加熱を続けると、蒸発や小豆の吸水によって鍋の水位が少しずつ下がります。
表面の豆が水面から顔を出しそうになったら、水を少量ずつ静かに注ぎ足しましょう。
小豆が再び隠れる高さまで差し水すると、粒ごとの硬さのばらつきを抑えられます。
砂糖は十分にやわらかくなってから加える
小豆に甘みを付ける場合は、茹で上がりを確認してから砂糖を加えるのが基本です。
十分に煮える前の小豆へ砂糖を入れると、濃い砂糖水が豆の水分を引き出してしまい、中心部に硬さが残ることがあります。
一度に全量を入れると糖分濃度が急に高くなるため、砂糖は2~3回に分け、溶けるたびに追加するのがポイントです。
砂糖を加えた後は、焦げ付かないよう鍋を軽く揺すり、小豆を崩さずに煮汁となじませてください。
古い小豆は茹で時間を長めに調整する
古い小豆は煮えにくいことがあるため、豆のやわらかさを確認しながら、茹で時間を長めに調整します。
収穫から時間が経った小豆では組織が変質し、火の通りが遅くなる「煮熟性の低下」がみられる場合があります。
基本の茹で時間を過ぎても硬いときは、10分ずつ加熱を延長し、その都度豆の状態を確かめてください。
必要な時間は保管期間や環境によって異なるため、最後は指で無理なくつぶれる状態を基準にします。
時短・簡単に小豆を茹でる方法

小豆を茹でる時間や手間を減らすには、圧力鍋・炊飯器・電子レンジを活用する方法があります。
圧力鍋は時短したいとき、炊飯器は火加減を見守る手間を省きたいとき、電子レンジは少量だけ用意したいときに適しています。
必要な時間は使う機種と小豆の分量で変わるので、表で違いを見比べながら、目的に合う茹で方を選んでください。
| 茹で方 | 調理時間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 圧力鍋 | 約30分 | 短時間でまとめて茹でられる |
| 炊飯器 | 約60~140分(炊飯1~2回) | 火加減を見ずに調理できる |
| 電子レンジ | 約60~80分 | 少量を手軽に茹でられる |
ここからは、それぞれの調理器具を使った小豆の茹で方を詳しく解説します。
圧力鍋で茹でる
圧力鍋は、まとまった量の小豆を短時間で茹でたい場合に向いています。
基本の方法で渋切りを終えたら、小豆を圧力鍋へ移して本茹でに進みます。
- 取扱説明書で指定された量の水を加える
- 蓋をし、圧力がかかるまで加熱する
- 圧力がかかったら火を弱め、指定時間加熱する
- 加熱を止め、取扱説明書に従って減圧してから硬さを確かめる
減圧方法や蓋を開けるタイミングは製品ごとに異なるため、取扱説明書に従ってください。
蒸気口をふさがないよう、小豆と水は規定の上限内に収め、必要な機種では蒸し板を使用しましょう。
炊飯器で茹でる
炊飯器を使うと、火加減や加熱時間を自動で調整してくれるため、小豆を茹でている間、つきっきりで見守る必要はありません。ほかの家事や料理と並行して進めたいときに便利な方法です。
ここでは、乾燥小豆200gを炊飯器で炊く手順を紹介します。水は600mlを目安に、内釜の目盛りを超えない範囲で調整してください。
なお、圧力IH式の炊飯器など、機種によっては豆類の調理ができないものもあります。使う前に取扱説明書で対応可否を確認しておくと安心です。
渋みが気になる場合は、基本の方法で渋切りを済ませてから内釜へ移してください。手軽に進めたいときは、洗った小豆をそのまま炊いてもかまいません。
- 洗った小豆、または渋切りを済ませた小豆と水600mlを内釜に入れる
- 通常の炊飯モードで1回炊く
- 炊き上がったら、そのまま10~20分ほど保温する
- 硬さが残る場合は、もう一度炊飯する
小豆は炊飯中に泡立ちやすいため、水を入れすぎると吹きこぼれの原因になります。水は内釜の目盛りを超えないようにし、多いと感じたときは少なめから試してみてください。
電子レンジで茹でる
少量の小豆を茹でたい場合は、大きな鍋を用意せずにすむ電子レンジが適しています。
ここでは、乾燥小豆50gを500Wで茹でる手順を紹介します。
- 洗った小豆50gと水150mlを、底が広く深めの耐熱容器に入れる
- ラップをせず500Wで4分加熱し、混ぜてさらに4分加熱する
- 煮汁を捨て、水150mlを加えて500Wで5分加熱する
- ラップをかけて30分蒸らし、外して500Wで3分加熱する
- 再びラップをかけ、20~30分蒸らす
電子レンジは機種によって加熱の進み方が異なるため、硬さが残る場合は短時間ずつ追加加熱しましょう。
加熱中の吹きこぼれと、容器を取り出す際の蒸気によるやけどにも注意してください。
茹でた小豆の保存方法

茹でた小豆を使い切れない場合は、使用するまでの期間に合わせて冷蔵または冷凍で保存します。
すぐに使う場合と長く保存したい場合に分けて、適切な方法を確認しましょう。
すぐに使う場合は冷蔵保存する
茹でた小豆を2~3日以内に使う予定なら、冷蔵保存が適しています。
鍋のままではなく、底の浅い容器に移すと熱が抜けやすくなります。
粗熱が取れたら蓋をし、室温に長く置かず、速やかに冷蔵庫へ入れましょう。
食べる際は清潔な器具で必要量だけ取り出し、温める場合は中心まで十分に再加熱してください。
長期保存する場合は小分けして冷凍する
茹でた小豆を数日で使い切れないときは、1回分ずつ冷凍保存するのが適しています。
1回に使う100gほどを冷凍用保存袋へ入れ、空気を抜きながら薄く平らに整えましょう。
袋には冷凍した日付を記載し、1か月程度を目安に使い切ってください。
解凍は必要な分だけ、冷蔵庫か電子レンジで行いましょう。一度解凍した小豆は水分が出て風味も落ちやすいため、再冷凍はせず、その日のうちに使い切るのがおすすめです。
よくある質問
小豆の茹で方について、よくある質問を紹介します。
- 砂糖なしの茹で小豆の作り方は?
- 砂糖なしの茹で小豆は、基本の手順どおりに渋切りと本茹でを行います。
指で軽く押すとつぶれる状態になったら火を止め、30分ほど蒸らしてください。
砂糖を加える工程には進まず、用途に応じて煮汁ごと使うか、ざるにあけて水気を切れば完成です。
- 小豆のゆで汁は捨てたほうがよい?
- 小豆のゆで汁をすべて捨てる必要はなく、どの工程で出たものかによって扱いが異なります。
渋切りの煮汁には渋みや苦味が溶け出しているため、基本の茹で方では一度捨てます。
本茹での煮汁は小豆の風味を含むので、お汁粉や小豆粥などに利用できます。
サラダや和え物などに小豆だけを使う場合は、仕上がりが水っぽくならないよう、豆の水気を切ってください。
- 小豆は茹でると何倍になる?
- 小豆は茹でると、乾燥時の約2.4~2.5倍の重さになります。
乾燥小豆100gであれば、茹で上がりは約240~250gが目安です。
吸水量や茹で加減、湯切りの程度によって重量は前後するため、正確な分量が必要な場合は水気を切った後に計量してください。
- 茹でた小豆はそのまま食べられる?
- 芯までやわらかく茹でた小豆は、砂糖を加えずそのまま食べられます。
無糖の茹で小豆は甘くなく、ほくほくとした豆本来の味わいが特徴です。
そのままはもちろん、サラダやスープ、煮物に加えるなど、お好みに合わせて自由に楽しんでみてください。
まとめ
乾燥小豆は一晩水に浸す必要がなく、洗ったらそのまま水から茹で始められます。
沸騰後は火を止めて20分ほど置き、最初の煮汁を捨てたら、新しい水で1時間ほど茹でてください。長く感じるかもしれませんが、そのほとんどは鍋にまかせておける時間です。
茹で時間はあくまで目安なので、最後は指で軽くつぶれるやわらかさを確かめてから、お好みに合わせて砂糖を加えてみてください。甘さも渋切りの回数も、正解はひとつではありません。
茹でた小豆は冷蔵や冷凍で保存しておけば、おはぎやお汁粉、サラダやスープまでいろいろな料理に使えます。これからの季節、まずは少量からでも小豆を炊く時間を楽しんでみませんか。
