毎日の健康管理を「難しい」と感じることはありませんか?
忙しい毎日の中で、手軽に栄養を摂取できる食品として、トマトジュースが注目されています。
トマトジュースには、生のトマトよりも濃縮された健康成分が多く含まれています。
血糖値や血圧・美肌に関する研究も数多く行われていて、コップ一杯で手軽に栄養補給ができるのも嬉しいポイントです。
今回は、トマトジュースに含まれる栄養成分や健康・美容面での魅力、おすすめの飲み方や選び方、そして毎日続けやすいアレンジレシピまで、皆さまの健やかな毎日にお役立ていただける情報をお届けします。
健康や美容が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
トマトジュースに含まれる栄養成分

トマトジュースは、なぜこんなに注目されているのでしょうか?
その秘密は、濃縮された栄養成分にあります。
以下の表で、トマトジュース200mlと生のトマト100gを比較してみましょう。
栄養成分 | トマトジュース(200ml) | 生トマト(100g) | 比較倍率 |
---|---|---|---|
リコピン | 16-30mg | 2-3mg | 約10倍 |
GABA | 13mg | 4mg | 約3倍 |
カリウム | 520mg | 210mg | 約2.5倍 |
食物繊維 | 1.4g | 1.0g | 約1.4倍 |
ビタミンC | 20mg | 15mg | 約1.3倍 |
ビタミンE | 1.8mg | 0.9mg | 約2倍 |
ビタミンB群 | 0.8mg | 0.5mg | 約1.6倍 |
トマトジュースは生のトマトと比べて、ほとんどの栄養成分を効率よく摂取できます。
特に注目すべきは、健康面で注目されるリコピンが約10倍含まれている点です。
これは、製造過程で丁寧に濃縮されることで、栄養成分がしっかりと詰まった状態になるためです。
トマトジュースに期待できる健康への効果

リコピンによる血糖値・糖尿病予防、コレステロール値の改善効果
トマトジュースに含まれるリコピンは、健康維持に役立つとされ、強い抗酸化作用によって血糖値を気にする方々から注目されています。
名古屋文理大学の研究では、毎日コップ一杯のトマトジュースを継続的に摂取すると「ヘモグロビンA1cの値が低下した」という報告があります
これは、リコピンがインスリンの働きをサポートし、細胞が糖分を上手に取り込めるように手助けしてくれるからなのです。
それだけでなく、LDL(悪玉)コレステロールの酸化を防いでくれるので、動脈硬化が気になる方にもおすすめです。
食物繊維による血糖値上昇抑制効果
トマトジュースには、食物繊維も豊富に含まれており、食後に上昇する血糖値を緩やかにしてくれます。
水溶性食物繊維が胃の中でやわらかなゲル状になって、糖質の吸収をゆっくりと遅らせて、血糖値の急上昇を防いでくれるでしょう。
この働きは「セカンドミール効果」と呼ばれており、朝食にトマトジュースを取り入れることで、昼食後の血糖値の上昇を抑える効果があることが研究でわかっています。
糖尿病の方が行う食事療法でも食前のトマトジュースがおすすめされる理由は、こんなところにあるんですね。
カリウムによる血圧調整・むくみ改善効果
トマトジュース200mlには約520mgのカリウムが含まれており、これは成人の1日推奨摂取量の約1/5に相当します。
カリウムは体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、血圧に関する研究で注目されています。
名古屋文理大学の研究では、無塩トマトジュースを1年間飲み続けたところ、収縮期血圧が平均4mmHg、拡張期血圧が平均3mmHg低下したと報告されています。
さらに、カリウムは余分な水分を排出してくれるので、むくみが気になる方にもおすすめです。
ビタミンB群の代謝促進による脂肪燃焼効果
トマトジュースに含まれるビタミンB群(特にB1、B2、B6)は、糖質や脂質の代謝を促進し、エネルギー変換を効率化します。
ビタミンB1は糖質代謝、ビタミンB2は脂質代謝、ビタミンB6はタンパク質代謝に深く関与しています。
これらの栄養素が相乗的に働くことで、基礎代謝を意識する方や体重管理を心がける方に注目されています。
運動する30分前にトマトジュースを摂取すると、体重管理を意識する方に役立つとして注目されています。
水分とミネラルによる夏バテ・熱中症予防効果
トマトジュースは約94%が水分で構成されており、効率的な水分補給が可能です。
さらに、カリウム・マグネシウム・ナトリウムなどの電解質も豊富に含まれているため、発汗により失われたミネラルの補給にも適しています。
トマトジュースを利用することで、余分な糖分を摂取することなく、水分やミネラル補給・スポーツドリンクの代替などとして活用されています。
また、高齢者の脱水症状予防においても注目されています。
トマトジュースに期待できる美容への効果

リコピンの抗酸化作用によるシミ・シワなどのエイジングケア効果
リコピンの抗酸化パワーは、ビタミンEの100倍、βカロテンの2倍もあります。
この優れた抗酸化力により、紫外線で発生する活性酸素を丁寧に除去できることから、メラニンに関する研究でも注目されています。
海外の研究では、リコピンを継続して摂取することで、紫外線を浴びたあとに引き起こされる肌の赤みが抑制されることが報告されています。
さらに、コラーゲンの分解をやさしく抑えてくれるので、シワが気になる方にもうれしい存在です。
ビタミンCのコラーゲン生成促進による美肌効果
トマトジュースにはビタミンCも豊富に含まれており、これは、コラーゲンづくりに欠かせない栄養素です。
コラーゲンはお肌の弾力やハリを保つのに大切な成分で、生成をサポートする働きから美容面でも注目されています。
またお肌の水分を保つ力をサポートするビタミンCは、乾燥による小じわが気になる方にもおすすめの栄養素です。
さらに、メラニン色素を還元してくれる作用もあるので、すでにあるシミが気になる方にも選ばれています。
ビタミンEの血行促進作用による肌ツヤ改善効果
ビタミンEは「若返りのビタミン」という呼び方でも親しまれていて、血管の健康や血行をサポートしてくれる重要な役割を持っています。
血の流れがよくなることで、細胞に酸素や栄養がしっかりと届き、お肌のターンオーバーも健やかに整います。
この効果により、くすみの改善や自然なツヤ・ハリにつながります。
さらに、ビタミンEの抗酸化作用で年齢による肌悩みの解消をサポートしてくれるので、いつまでも美しくありたい方に愛されています。
おすすめのトマトジュースの選び方

無塩・無糖タイプがおすすめ
健康のことを考えると、食塩や砂糖が入っていないタイプを選ぶのがおすすめです。
塩分入りのトマトジュースは血圧が気になる方には注意が必要で、砂糖入りは血糖値の上昇につながる可能性があります。
無塩タイプなら、トマトが持つ本来のやさしい甘みや旨みをそのまま感じられます。
毎日飲み続けても塩分の摂りすぎを心配しなくて済みます。
最初は「ちょっと物足りないかな?」と感じるかもしれませんが、慣れてくるとトマト本来のおいしさを楽しめるでしょう。
ストレートと濃縮、好みに合わせてOK
トマトジュースには「ストレートタイプ」と「濃縮還元タイプ」があります。
ストレートタイプは搾ったトマト果汁をそのまま使用し、より自然な味わいが特徴です。
一方、濃縮還元タイプは一度濃縮してから水を加えて元の濃度に戻したもので、保存性に優れています。
栄養価については両者に大きな差はありませんが、味の好みや価格・保存期間などを考慮して選択するとよいでしょう。
ストレートタイプはフレッシュな味わいを、濃縮還元タイプはコストパフォーマンスを重視する方におすすめです。
味付け・風味の違いで選ぶ
市販のトマトジュースには、完熟トマト使用・フルーツトマト使用・海外産トマト使用など、さまざまなタイプがあります。
それぞれ風味や甘み・酸味のバランスが異なるため、自分の好みに合った製品を選ぶことが継続摂取の鍵となります。
また、有機栽培トマトを使用した製品や、特定の産地のトマトを使用した製品なども増えており、品質にこだわりたい方には、これらの選択肢も検討に値します。
含有リコピン・栄養価が高い製品を選ぶ
トマトジュースを選ぶ際は、リコピン含有量が明記されている製品を優先的に選ぶことをおすすめします。
健康効果を期待する場合、200mlあたり20mg以上のリコピンが含まれている製品が理想的です。
高リコピン製品の見分け方
・完熟トマトを使用している
・加熱処理が適切に行われている
・リコピン含有量が製品ラベルに明記されている
・濃厚な赤色をしている
トマトジュースの効果的な飲み方と生活への取り入れ方

1日の適量
トマトジュースにおける1日の適量はコップ1杯(200ml)程度とされています。
この量でリコピンを約15-20mg摂取でき、無理なく続けられる量でもあります。
たくさん飲めばいいというものではなく、カリウムやカロリーのことを考えると、適量を守って続けることが一番大切です。
毎日コップ一杯を習慣にしてしまえば、無理なく続けられて、きっと嬉しい変化を実感できるでしょう。
飲むなら朝がおすすめ
トマトジュースを飲むのにおすすめなのが、朝食の30分前です。
お腹が空いている時に飲むことで、リコピンやほかの栄養成分をしっかりと吸収できます。
また朝に飲むことで、1日を通して血糖値が安定しやすくなるという嬉しい効果も期待できます。
朝食前に飲むことで、食事後の血糖値の上がりをゆるやかにする働きも期待できます。
生活習慣病や体重が気になる方にもおすすめですし、忙しい朝でもサッと栄養補給できるので、続けやすい健康習慣としてぴったりです。
過剰摂取にはデメリットがある
トマトジュース飲む際は、過剰摂取に注意しましょう。
1日500ml以上の摂取を継続すると、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。
・カリウム過剰:腎機能に負担をかける可能性
・リコピン過剰:肌が黄色くなる「リコピン血症」のリスク
・カロリー過多:200mlで約35kcalのため、過剰摂取は体重増加の原因
・胃酸過多:空腹時の大量摂取は胃に負担をかける場合がある
組み合わせると効果が高まる食材
トマトジュースの栄養吸収を高めるためには、適切な食材との組み合わせが効果的です。
特にリコピンは脂溶性のため、良質な脂質と一緒に摂取することで吸収率が向上します。
栄養面で注目される組み合わせ
・オリーブオイル:リコピン吸収率を約4倍向上
・アボカド:良質な脂質でリコピン吸収促進
・牛乳やヨーグルト:カルシウムとの相乗効果で骨の健康を意識する方に人気
・玉ねぎ:ケルセチンとの組み合わせで抗酸化成分を意識する方に人気
・ブロッコリー:ビタミンCとの相乗効果で美肌を意識する方に人気
トマトジュースを継続して飲むためのアレンジレシピ

好みのオイルを加えて味変
トマトジュースにオイルを加えることで、味に変化をつけながらリコピンの吸収率も向上させることができます。
以下のアレンジ方法がおすすめです。
・オリーブオイル+黒胡椒
トマトジュース200mlに、エクストラバージンオリーブオイル小さじ1/2と黒胡椒を少々加えます。
・ココナッツオイル+ハチミツ
冬場は軽くレンジで温めて、ココナッツオイル小さじ1/2とハチミツ小さじ1を加えます。
・亜麻仁油+レモン汁
オメガ3脂肪酸豊富な亜麻仁油小さじ1/2と、レモン汁少々でさっぱりな仕上げもおすすめです。
冬場は電子レンジで30〜40秒温めることで、ホットトマトジュースとして楽しめ、体を温めながら栄養補給が可能です。
いつものメニューにプラスして栄養素アップ
トマトジュースを料理に活用することで、普段のメニューの栄養価を大幅にアップさせることができます。
以下のような活用方法がおすすめです。
・押し麦入りトマトスープ
トマトジュース300mlに押し麦50g、野菜を加えて煮込みます。
食物繊維とβ-グルカンで血糖値を気にする方に人気なレシピです。
・蒸し豆入り鶏肉煮込み
鶏むね肉と蒸し大豆をトマトジュースで煮込むことで、タンパク質とイソフラボンを同時摂取できます。
・トマトカレー
通常のカレーの水分をトマトジュースに置き換えることで、リコピンとスパイスの栄養バランスの良い組み合わせを実現可能です。
スムージーやスープで朝食でも摂りやすくする
朝食として取り入れやすいアレンジレシピをご紹介します。
これらのレシピは栄養バランスが良く、忙しい朝でも手軽に準備できます。
・ガスパチョ風冷製スープ
トマトジュース200ml・きゅうり1/2本・玉ねぎ1/4個をミキサーにかけ、オリーブオイルと塩で味を調えます。
・ミネストローネ
トマトジュース300mlに季節の野菜と豆類を加えて煮込むだけで、栄養満点の朝食スープが作れます。
・フルーツトマトスムージー
トマトジュース150ml・バナナ1/2本・リンゴ1/4個・ヨーグルト50mlをミキサーにかけて、フルーティーで飲みやすいスムージーもおすすめです。
まとめ
トマトジュースは、私たちが日々続けやすい健康習慣として、とても頼りやすい存在です。
科学的な研究でしっかりと裏付けされた効果と、毎日の生活に無理なく取り入れられる手軽さが、皆さまの健康づくりをやさしくサポートしてくれます。
最も注目すべき健康効果は、生のトマトに比べ、リコピンは約10倍も濃縮されていることです。
このおかげで、血糖値や血圧・コレステロール値などを気にする方の生活習慣病対策から、シミ・シワや美肌を意識する美容面まで、幅広い健康サポートが期待できます。
より嬉しい変化を実感していただくためには、無塩・無糖タイプを選んで、1日コップ一杯を朝食前に飲むことをおすすめします。
さらに、オリーブオイルといった体に優しい油と一緒に摂ることで、リコピンをより効率的に吸収できます。
何よりも大切なのは、無理をせずに続けることです。
毎日コップ一杯のトマトジュースから始まる小さな習慣が、毎日をより豊かで健やかなものにしてくれるでしょう。
今日からのトマトジュース生活で、健康や美容を意識した、自分らしい毎日を実現しませんか?
参照元
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
2型糖尿病患者の健康管理-血糖値の改善効果に果たすリコピンの役割-
Rizwan M, Rodriguez-Blanco I, Harbottle A, Birch-Machin MA, Watson RE, Rhodes LE. Tomato paste rich in lycopene protects against cutaneous photodamage in humans in vivo: a randomized controlled trial. Br J Dermatol. 2011 Jan;164(1):154-62. doi: 10.1111/j.1365-2133.2010.10057.x. Epub 2010 Nov 29. PMID: 20854436