近年、健康志向の高まりとともに「もち麦」が注目を集めています。
豊富な食物繊維や独特のもちもちとした食感が特徴のもち麦は、血糖値のコントロールや便秘改善・ダイエットなど、さまざまな健康効果が期待できる食材です。
本記事では、もち麦に含まれる栄養成分とその働き、効果的な食べ方や摂取時の注意点までを詳しく解説します。
毎日の食事にもち麦を取り入れて、健康的な生活を目指しましょう。
もち麦とは?

もち麦は大麦の一種で、特に水溶性食物繊維「β-グルカン」が豊富に含まれることで知られています。
白米と比べて食物繊維が約25倍、たんぱく質も約2倍含まれており、栄養価の高い穀物です。
もち麦という名前の通り、もちもちとした弾力のある食感が特徴で、白米に混ぜて炊くだけで手軽に取り入れることができます。
健康への効果は多岐にわたり、腸内環境の改善から血糖値のコントロール・ダイエットサポートまで、幅広い恩恵が期待できます。
もち麦の種類・特徴
もち麦には、外皮を取り除いた「精白もち麦」と、外皮が残っている「丸麦タイプ」があります。
精白もち麦は白米に近い色をしており、柔らかく食べやすいのが特徴です。
一方、丸麦タイプは茶色がかった色をしており、しっかりとした食感と噛みごたえがあり、より多くの栄養素を含んでいます。
また、もち麦には白色の品種と紫色の「紫もち麦」があり、紫もち麦にはアントシアニンなどのポリフェノールも含まれています。
初めてもち麦を試す方は、白米との違和感が少ない精白もち麦から始めると続けやすいでしょう。
もち麦に含まれる成分と効果

もち麦の健康効果は、その豊富な栄養成分に支えられています。
ここでは、もち麦に含まれる主な栄養素とその働きについて詳しく見ていきましょう。
以下は、白米ともち麦の栄養成分を比較した表です。
| 栄養成分(100gあたり) | 白米(精白米) | もち麦 |
|---|---|---|
| エネルギー | 358kcal | 340kcal |
| たんぱく質 | 6.1g | 9.6g |
| 脂質 | 0.9g | 1.2g |
| 炭水化物 | 77.6g | 72.1g |
| 食物繊維 | 0.5g | 12.9g |
| カリウム | 88mg | 170mg |
| マグネシウム | 23mg | 80mg |
この表からもわかるように、もち麦は白米と比べて食物繊維が約25倍以上も多く含まれています。
食物繊維「大麦β-グルカン」による腸内環境改善
もち麦に豊富に含まれる水溶性食物繊維「β-グルカン」は、腸内環境を整える優れた働きを持っています。
β-グルカンは腸内で善玉菌のエサとなり、腸内フローラのバランスを改善します。
また、便を柔らかくして排便をスムーズにする作用もあるため、便秘の改善に効果的です。
腸内環境が整うことで、便通が良くなるだけでなく、免疫力の向上や肌の調子を整える効果も期待できます。
さらに、もち麦には不溶性食物繊維も含まれており、便のかさを増やして腸のぜん動運動を促進する働きもあります。
水溶性と不溶性、両方の食物繊維がバランス良く含まれているため、ダイエット中の便秘解消にも役立つでしょう。
豊富なたんぱく質で体づくりをサポート
もち麦は、白米の約2倍のたんぱく質を含んでいます。
たんぱく質は筋肉や臓器・皮膚・髪の毛など、体を構成する重要な栄養素です。
主食であるご飯からたんぱく質を摂取できることは、栄養バランスを整えるうえで大きなメリットとなります。
特にダイエット中は、カロリーを抑えながらも必要な栄養素をしっかり摂ることが重要です。
もち麦なら、主食を我慢せずにたんぱく質を補給できるため、筋肉量を維持しながら健康的に体重を落とすことができます。
筋肉量が維持されることで基礎代謝も保たれ、リバウンドしにくい体づくりにもつながります。
ビタミンB群で疲労回復や代謝の維持
もち麦には、健康維持に欠かせないビタミンB群が豊富に含まれています。
特にビタミンB1は糖質の代謝を助け、疲労回復やエネルギー生成に関与します。
ビタミンB2やB6は脂質やタンパク質の代謝を促し、肌や髪の健康維持、免疫機能のサポートにも重要です。
また葉酸も含まれており、赤血球の生成を助けるほか、女性の健康や妊娠期の栄養補給にも役立ちます。
これらのビタミンは体内に蓄積されにくいため、もち麦のような食品を日常的に摂ることで、代謝や美容・疲労回復に効果的なサポートが期待できます。
これらの栄養素は白米に少量しか含まれていないため、もち麦を取り入れることで効率的に摂取できるでしょう。
低GI食品として血糖値の急上昇を抑制
もち麦は、低GI食品としても知られています。
GI値(グリセミック・インデックス)とは、食後の血糖値の上昇スピードを示す指標です。
白米のGI値は約84と高めですが、もち麦は約50と低く、食後の血糖値上昇が緩やかです。
血糖値が急激に上がると、インスリンが大量に分泌され、余った糖が脂肪として蓄積されやすくなります。
もち麦の水溶性食物繊維は胃の中でゲル状になり、糖の吸収を穏やかにするため、血糖値の急上昇を防ぎ、脂肪の蓄積を抑えることができます。
また、血糖値が安定することで、食後の眠気やだるさを感じにくくなり、日中のパフォーマンス向上にもつながります。
糖尿病の予防や改善を目指す方にとっても、もち麦は強い味方となるでしょう。
水溶性食物繊維によるコレステロール値の抑制
もち麦に含まれるβ-グルカンには、コレステロール値を下げる働きもあります。
水溶性食物繊維は腸内でコレステロールや胆汁酸を吸着し、体外へ排出する作用があります。
これにより、血中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減少させることができます。
コレステロール値が高い状態が続くと、動脈硬化や心疾患のリスクが高まります。
もち麦を日常的に摂取することで、脂質異常症の予防や改善に役立ち、生活習慣病のリスクを低減できます。
健康診断でコレステロール値を指摘された方は、食事の見直しの一環としてもち麦を取り入れてみることをおすすめします。
カリウムやマグネシウムによる高血圧予防・血管の健康維持
もち麦に豊富に含まれるカリウムとマグネシウムは、血圧のコントロールに重要な役割を果たします。
カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、高血圧の予防に効果的です。
現代の食生活では塩分を摂りすぎる傾向にあるため、カリウムの積極的な摂取が推奨されています。
マグネシウムは血管を拡張させて血流を改善し、血圧を下げる作用があります。
また、血管の柔軟性を保ち、動脈硬化を予防する働きもあります。
これらのミネラルを日常的に摂取することで、高血圧や心血管疾患のリスクを低減し、健康的な血管を維持することができます。
もち麦の摂取量目安と注意点

もち麦は健康に良い食品ですが、適切な量を守ることが大切です。
ここでは、1日の摂取量の目安や、食べ過ぎによる影響、アレルギーなどの注意点について解説します。
もち麦の適切な摂取量
もち麦の1日の推奨摂取量は約50gです。
白米1合(約150g)に対してもち麦50gを混ぜて炊くと、ちょうど良いバランスになります。
この量で、食物繊維を約5〜6g摂取できます。
日本人の食物繊維の摂取目標量は、成人男性で21g以上、成人女性で18g以上とされていますが、実際の摂取量は平均で3〜5g不足しています。
もち麦50gを毎日摂取することで、この不足分を補うことができます。
初めてもち麦を食べる方は、白米2合に対してもち麦大さじ1〜2杯(約15〜30g)から始めて、徐々に量を増やしていくと良いでしょう。
食べ過ぎによる消化不良に注意が必要
もち麦は食物繊維が非常に豊富なため、一度に大量に摂取すると消化器官に負担がかかる可能性があります。
食べ過ぎによる主な症状は以下の通りです。
・腹部の張りや不快感
・ガスの増加
・腹痛や下痢
・胃もたれ
特に、普段から食物繊維をあまり摂取していない方は、少量から始めて、体を慣らしながら徐々に増やしていくことが大切です。
また、もち麦を食べる際は十分な水分を一緒に摂ることも重要です。
食物繊維は水分を吸収して膨らむため、水分不足だと逆に便秘を悪化させることがあります。
アレルギーの発症に注意が必要
もち麦は大麦の一種であり、小麦アレルギーの方は注意が必要です。
もち麦には小麦に含まれる「グルテン」はほとんど含まれていませんが、小麦に似た分子構造を持つたんぱく質が含まれています。
そのため、小麦アレルギーの方がもち麦を摂取すると、アレルギー症状を引き起こす可能性があります。
主なアレルギー症状には以下のようなものがあります。
・皮膚のかゆみや発疹
・吐き気や嘔吐
・腹痛や下痢
・呼吸困難(重症の場合)
小麦アレルギーや穀物アレルギーの既往がある方は、もち麦を初めて食べる前に必ず医師に相談してください。
また、初めて食べる際は少量から試し、体調に変化がないか様子を見ることをおすすめします。
もち麦の選び方

もち麦を購入する際は、品質や産地、加工方法などを確認することが大切です。
毎日続けられるよう、より良いもち麦を選ぶためのポイントを紹介します。
品種・精麦方法の違いから選ぶ
もち麦には、精麦方法によって主に2つのタイプがあります。
精白もち麦は、外皮を完全に取り除いたもので、白米に近い色をしています。
柔らかく炊き上がり、クセが少ないため、もち麦初心者や子どもでも食べやすいのが特徴です。
一方、丸麦(半精白)もち麦は外皮を一部残したもので、茶色がかった色をしています。
食感はしっかりしており、より多くの食物繊維やミネラルを含んでいます。
また、品種によっても違いがあり「キラリモチ」「ダイシモチ」「ホワイトファイバー」などが代表的です。
それぞれβ-グルカンの含有量や食感が異なるため、好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
国産・無添加・オーガニック製品の選び方
もち麦を選ぶ際は、産地や栽培方法も重要なチェックポイントです。
国産のもち麦は品質管理がしっかりされており、安心して食べることができます。
主な産地は、福岡県・愛媛県・栃木県などで、それぞれの地域で特色ある品種が栽培されています。
オーガニック(有機栽培)のもち麦は、化学肥料や農薬を使わずに栽培されているため、より安全性が高いと言えます。
特に小さなお子さんがいる家庭では、オーガニック製品を選ぶことをおすすめします。
また、無添加・無着色の製品を選ぶことも大切です。
パッケージの原材料表示を確認し、余計な添加物が入っていないものを選びましょう。
保存のコツと劣化を防ぐポイント
もち麦を購入したら、適切に保存することで品質を長く保つことができます。
未開封のもち麦は、直射日光を避けた涼しい場所で保管してください。
開封後は、密閉容器に移し替えて冷蔵庫で保存するのがおすすめです。
特に夏場は高温多湿になりやすいため、冷蔵保存が安心です。
冷蔵庫に入れる際は、においの強い食品の近くを避け、密閉性の高い容器やジッパー付きの袋を使用しましょう。
もち麦は精米された白米よりも酸化しやすいため、開封後は1〜2ヶ月以内に使い切ることを目安にしてください。
購入する際は、使い切れる量を考えて、小分けパックを選ぶのも良い方法です。
もち麦の基本的な食べ方と続けやすい取り入れ方

もち麦は、さまざまな料理に活用できる万能食材です。
ここでは、基本的な炊き方から応用レシピまで、もち麦を美味しく続けるためのアイデアを紹介します。
白米に混ぜる基本の炊き方
もち麦の最も基本的な食べ方は、白米に混ぜて炊く方法です。
炊飯器で簡単に作ることができます。
基本の炊き方(白米2:もち麦1の割合)
1. 白米2合(約300g)を研いで炊飯器に入れます
2. もち麦1合(約150g)を加えます
3. 通常の水加減に加えて、もち麦の分の水を150〜200ml追加します
4. 30分以上浸水させます(もち麦をふっくら炊き上げるポイント)
5. 通常の白米モードで炊飯します
6. 炊き上がったら10分ほど蒸らし、全体を混ぜ合わせて完成です
初めての方は、白米3:もち麦1の割合から始めると、違和感なく食べられます。
慣れてきたら、徐々にもち麦の割合を増やしていくと良いでしょう。
サラダ・スープ・リゾットにアレンジ
もち麦はご飯として食べるだけでなく、サラダやスープにも活用できます。
もち麦の茹で方
1. たっぷりのお湯を沸かします
2. もち麦を入れて15〜20分茹でる
3. ザルにあげて水気を切り、冷水で洗う
茹でたもち麦は、プチプチとした食感が楽しめます。
おすすめのアレンジ
・もち麦サラダ:茹でたもち麦にトマトやきゅうり、レタスなどの野菜を加え、オリーブオイルとレモンでドレッシングを作って和えます
・もち麦スープ:野菜スープやミネストローネに茹でたもち麦を加えると、とろみがついて満足感がアップします
・もち麦リゾット:茹でたもち麦をチーズやトマトソースで煮込み、洋風リゾット風に仕上げます
もち麦のとろみづけ効果を活かして、スープにコクと深みを加えることもできます。
もち麦スイーツで楽しむ
もち麦はスイーツにも活用できる、意外と万能な食材です。
プチプチとした食感と自然な甘みが、デザートにアクセントを加えてくれます。
もち麦スイーツのアイデア
・豆花(トウファ):台湾の伝統的なデザートに茹でたもち麦をトッピング
・チェー:ベトナムの甘味に、タピオカの代わりにもち麦を使用
・もち麦おはぎ:もち麦を炊いて潰し、あんこで包んで和菓子風に
・もち麦プリン:茹でたもち麦をプリン液に混ぜて焼き上げ、食感を楽しむ
・もち麦ヨーグルト:茹でたもち麦にヨーグルトとはちみつをかけてヘルシーな朝食に
スイーツに使う際は、もち麦を柔らかめに茹でると食べやすくなります。
砂糖や甘味料の量を控えめにすることで、罪悪感の少ないヘルシースイーツとしても楽しめるでしょう。
無理なく続けるための工夫について
もち麦を習慣化するためには、続けやすい工夫が大切です。
冷凍保存の方法
炊いたもち麦ご飯は、冷凍保存が可能です。
1食分ずつラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。
食べる際は電子レンジで温めるだけで、炊きたてのような美味しさが楽しめます。
冷凍保存なら約1ヶ月は品質を保てるため、まとめて炊いておくと便利です。
作り置きのコツ
茹でたもち麦も、冷蔵・冷凍保存ができます。
小分けにして保存しておけば、サラダやスープにサッと加えることができます。
冷蔵保存なら2〜3日、冷凍保存なら約1ヶ月が目安です。
週末にまとめて準備しておけば、忙しい平日でも手軽にもち麦を取り入れられます。
続けるためのポイント
・最初は白米との割合を少なめにして、徐々に増やす
・家族全員で食べることで、無理なく習慣化できる
・さまざまな料理・スイーツに活用することで、飽きずに続けられる
・冷凍ストックを作っておくことで、手間を減らす
まとめ
もち麦は、豊富な食物繊維やたんぱく質・ミネラル・ビタミンを含む、栄養価の高い食材です。
特に水溶性食物繊維「β-グルカン」による腸内環境の改善や血糖値の上昇抑制・コレステロール値の低下など、多くの健康効果が期待できます。
また、便秘解消やダイエットサポート・生活習慣病の予防にも役立つため、健康を意識する方にとって強い味方となるでしょう。
もち麦を毎日の食事に取り入れる際は、適切な摂取量を守り、十分な水分と一緒に摂取することが大切です。
初めての方は少量から始め、徐々に体を慣らしていきましょう。
白米に混ぜて炊くだけでなく、サラダやスープ・スイーツなど、さまざまな料理に活用できるのも、もち麦の魅力です。
冷凍保存や作り置きを活用すれば、忙しい日々でも無理なく続けられます。
ぜひ、もち麦を日常の食事に取り入れて、健康的で美味しい食生活を楽しんでください。














