健康志向の高まりとともに、多くの人が食生活に取り入れているのが「スーパーフード」です。その中でも、特に注目されているのが「キヌア」です。キヌアは、豊富な栄養価を誇るだけでなく、グルテンフリーでアレンジしやすい万能な食材として人気を集めています。スープやサラダ、リゾットなど、さまざまなレシピに活用できるため、日々の食事にも取り入れやすいのが魅力です。そこで今回は、キヌアの特徴や栄養、美味しい食べ方について詳しく紹介します。
キヌアとは?
キヌアは、南米アンデス地方を原産とする穀物の一種で、スーパーフードとして注目されています。約3,000年以上も前から栽培されており、古代インカ帝国では「母なる穀物」として大切にされてきました。近年、その高い栄養価や健康効果が注目され、日本でも手軽に購入できるようになりました。毎年2月20日はキヌアの日として制定されており、キヌアを食生活に取り入れている方も増えています。
見た目は小さな丸い粒状で、白・赤・黒の3色が一般的です。主食としてだけでなく、サラダやスープの具材としても使われるなど、幅広い料理に使える特徴があります。また、グルテンを含まないため、グルテンフリーの食品としても人気です。
さらにキヌアは厳しい気候条件でも育つため、環境にも優しい作物として知られています。その特徴から、持続可能な農業の観点からも注目される食材です。
キヌアの特徴
健康志向の高い方に選ばれているキヌアは、ほかの食材にはない特徴がいくつかあります。以下では、キヌアの特徴を3つ解説します。
豊富な栄養価
キヌアは、たんぱく質や食物繊維、ミネラルやビタミンがバランスよく含まれている栄養価の高い食品です。特に、必須アミノ酸を含む植物性たんぱく質が豊富で、健康的な食生活をサポートする食材として注目されています。さらに、食物繊維も含まれており、主食として取り入れることで、栄養バランスを整えやすくなります。
グルテンフリー
キヌアは、小麦や大麦に含まれるグルテンを含まないため、グルテンフリーの食生活を実践している方にも適しています。パンやパスタの代替として取り入れることで、食事の選択肢を広げることができます。クセのない味わいとモチモチした食感があり、和食から洋食まで幅広い料理に活用できるのも魅力です。
料理のアレンジがしやすい
キヌアは、さまざまな料理に取り入れやすく、アレンジの幅が広い食材です。炊いてそのまま食べるのはもちろん、スープに加えたり、サラダに混ぜたりすることで、食感と栄養価をプラスできます。さらに、粉末状にしてパンやスイーツの生地に加えることで、より手軽にキヌアを取り入れることが可能です。炊飯器やフライパン、電子レンジなど、調理方法も豊富なため、ライフスタイルに合わせて活用しやすいです。
キヌアの栄養価
キヌアは、他の穀物と比較しても非常に栄養価が高いことで知られています。多くの必須栄養素をバランス良く含み、健康的な食生活をサポートしてくれます。以下では、キヌアが持つ代表的な栄養素について詳しく解説します。
高品質なたんぱく質
キヌアは、9種類すの必須アミノ酸を含む「完全たんぱく質食品」として注目されています。これは他の穀物には見られない特長であり、特に植物由来のたんぱく質を摂取したいベジタリアンやヴィーガンにとって理想的な食品です。
100gあたりのたんぱく質含有量は約14gと高く、牛肉や鶏肉などの動物性たんぱく質と比較しても劣らない栄養価を持っています。
豊富な食物繊維
キヌアには、食物繊維がたっぷりと含まれています。白米の約5倍にあたる食物繊維を含み、腸内環境の改善や便秘の予防に役立ちます。食物繊維は、水溶性と不溶性の2種類がありますが、キヌアにはその両方が含まれています。
ミネラルとビタミンの宝庫
キヌアには、ミネラルやビタミンが含まれています。ミネラルとしてはマグネシウムや鉄などが含まれており、バランスの良い食生活を考えるうえで役立ちます。また、ビタミンB群なども含まれているため、食事の栄養バランスを考える際の選択肢のひとつとして取り入れやすい食品です。
成分 | 含有量(100gあたり) |
---|---|
エネルギー | 344 kcal |
水分 | 12.2 g |
たんぱく質 | 13.4 g |
脂質 | 3.2 g |
炭水化物 | 69.0 g |
食物繊維 | 6.2 g |
灰分 | 2.2 g |
ナトリウム | 35 mg |
カリウム | 580 mg |
カルシウム | 46 mg |
マグネシウム | 180 mg |
リン | 410 mg |
鉄 | 4.3 mg |
亜鉛 | 2.8 mg |
ビタミンB1 | 0.45 mg |
ビタミンB2 | 0.24 mg |
ナイアシン | 1.2 mg |
ビタミンB6 | 0.39 mg |
葉酸 | 190 µg |
ビタミンE | 2.6 mg |
キヌアには栄養が豊富に含まれていることから、スーパーフードのなかでも高い人気があります。
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キヌアの基本的な調理方法

キヌアを調理する際には、下ごしらえが重要です。そのままでは苦みが残ることがあるため、適切な方法で準備することで、より美味しく食べられます。
サポニンを除去する
キヌアにはサポニンという成分が含まれており、そのままだと苦みが残ることがあります。調理前にボウルに入れ、たっぷりの水で優しく洗い流し、2~3回すすぐことでサポニンをしっかり除去できます。特に白キヌアはサポニンが少なめですが、赤キヌアや黒キヌアを使う場合は丁寧に洗いましょう。
炊飯器での炊き方
炊飯器を使うと、手軽にふっくらとしたキヌアが炊き上がります。キヌア1カップに対し、水2カップを目安に加え、通常の白米と同じように炊飯すれば完成です。白米と混ぜて炊くと、食べやすくなるだけでなく、栄養バランスも整いやすくなります。
フライパンでの調理法
フライパンを使う場合は、キヌアと水を1:2の割合で鍋に入れ、沸騰させた後に弱火で約15分加熱します。途中で焦げつかないように注意しながら火を通し、水分がなくなったら火を止めて10分ほど蒸らせば完成です。炒めものやスープに加える際には、あらかじめフライパンで軽く炒ると、香ばしさが増します。
電子レンジでの簡単調理
電子レンジを使うと、少量のキヌアを手軽に調理できます。耐熱容器にキヌア1カップと水2カップを入れ、ラップをかけて600Wで約10分加熱します。その後、ラップをしたまま5分ほど蒸らすと、ふっくらと仕上がります。時間がないときでも、すぐに使えるのがメリットです。
キヌアの効果的な取り入れ方とレシピ
キヌアは、炊飯器やフライパン、電子レンジを使って手軽に調理できる万能な食材です。クセが少なく、さまざまな料理に取り入れやすいことから、主食としてはもちろん、スープやサラダなどにも活用できます。以下では、キヌアの基本的な調理法やおすすめのレシピを紹介します。
キヌアを使ったおすすめレシピ
キヌアは、サラダやスープに加えることで、食感や栄養バランスをプラスできます。シンプルな調理で取り入れやすいため、日々の食事に活用しやすいのが魅力です。
キヌア入りサラダ

炊いたキヌアをトマトやきゅうりなどの野菜と合わせ、オリーブオイルとレモン汁で和えるだけの簡単レシピです。お好みでナッツやチーズを加えると、風味や食感にアクセントが生まれます。さっぱりとした味わいで、どんな料理とも相性の良い一品です。
材料(2〜3人分)
- キヌア(白・黒・赤のミックスがおすすめ):1/2カップ
- 水:1カップ
- きゅうり:1本(薄切り)
- トマト:1個(角切り)
- イタリアンパセリ:適量(ざく切り)
- オリーブオイル:大さじ2
- レモン果汁:大さじ1
- 塩:小さじ1/2
- こしょう:少々
- にんにく(すりおろし):小さじ1/4(お好みで)
作り方
- 苦味をとるためキヌアをザルに入れて水でよく洗い、鍋に水とキヌアを入れて中火にかける。沸騰したら弱火でフタをし、約15分炊く。その後10分蒸らしたら、フォークでふんわりほぐす。
- きゅうりは薄切り、トマトは食べやすい大きさにカットし、イタリアンパセリはざく切りにしておく。
- ボウルにオリーブオイル・レモン果汁・塩こしょう・お好みでにんにくを入れて混ぜ、ドレッシングを作る。
- 炊きあがったキヌアをボウルに入れ、野菜とドレッシングを加えてよく混ぜる。10分ほど冷蔵庫で冷やすと、味がなじんで美味しくなります。
- 器に盛り、仕上げにイタリアンパセリを散らして完成です。
キヌア入りガスパチョ

スペイン発祥のガスパチョは、トマトなどの野菜をすりつぶして作る冷たいスープです。野菜ソムリエプロ・古金陽子さんが監修したこのレシピでは、市販のトマトジュースやホールトマトを使用することで、生のトマトより効率的にリコピンを摂取できます。さらに、スーパーフードとして人気のキヌアを加えることで、夏場に不足しがちなタンパク質も補給できます。
材料A(2人前)
- 無塩トマトジュース:150ml(リコピン・βカロテン・ビタミンC)
- カットトマトまたはホールトマト:200g(リコピン・βカロテン・ビタミンC)
- ピーマン:小1個(ビタミンC・ビタミンA・βカロテン)
- 玉ねぎ:50g(硫化アリル・ケルセチン)
- レモン果汁:少々(ビタミンC)
- コンソメ:6g
- 塩:小さじ1/2弱
- はちみつ:小さじ1
- ガーリックパウダー:小さじ1/8
- パプリカパウダー:小さじ1/4
- こしょう:少々
- 氷(または冷水):80g
材料B(2人前)
- ホワイトキヌア:1/2カップ(タンパク質・ミネラル)
- 水:1カップ
- カレー粉:小さじ1
- バジル(トッピング用)
作り方
- Aの材料を滑らかになるまでミキサーにかけ、保存容器に移して冷蔵庫で冷やします。
- Bの材料を鍋に入れ、火にかけ、沸騰したら弱火で15分ほど煮てキヌアを炊きます。
- キヌアを冷まし、冷えたスープと共に皿に盛り、バジルを添えて完成です。
※有塩のトマトジュースを使用する場合は、塩加減を調整してください。
キヌアの保存方法
キヌアは乾燥状態で販売されることが多く、適切に保存すれば長期間品質を保つことができます。保存方法を工夫することで、風味や食感を損なわずに使用できます。
未開封のキヌアは、直射日光や湿気を避け、冷暗所で保管するのが基本です。開封後は、密閉容器に移し替え、湿気や虫害を防ぐことが重要です。特に、湿度の高い時期には密閉度の高い保存容器を使用すると安心です。長期間保存する場合は、冷蔵庫に入れることで、酸化を防ぎながら鮮度を維持できます。
また、炊いたキヌアは冷蔵庫で保存し、2〜3日以内に食べきるのが理想です。余った分は、密閉容器に入れて冷凍保存すると、1ヶ月程度は美味しさを保てます。冷凍する際は、小分けにしておくと、必要な分だけ取り出せるため便利です。食べる際は、電子レンジで加熱するか、炒めものやスープに直接加えて解凍すると、手軽に活用できます。
キヌアを食べる際の注意点
キヌアは栄養価が高く、さまざまな料理に活用できる食品ですが、適切な調理や摂取方法を守ることが大切です。以下では、キヌアを食べるうえで注意しなければならないことを解説します。
毒成分のサポニンを取り除いてから食べる
キヌアの表面には、サポニンという成分が含まれており、これが苦みや渋みの原因となることがあります。そのまま調理すると独特の風味が残るだけではなく、過剰に摂取した場合、下痢や吐き気の症状が出る可能性もあります。調理前にしっかりと洗い、サポニン取り除いてから調理を行いましょう。
適切な摂取量を守る
キヌアは栄養価が高い一方、バランスの取れた食生活を心がけるためには、適量を守ることが重要です。一般的には、炊飯前の状態で1食あたり約50gを目安にすると、適切な量を摂取できます。過剰に摂取すると、食物繊維の影響で消化に時間がかかることがあるため、他の食材と組み合わせながら食べるのがおすすめです。
キヌアに関するよくある質問(FAQ)

キヌアは栄養価が高く、幅広い料理に活用できる便利な食材です。しかし、初めて取り入れる方の中には、購入方法やカロリー、食生活への取り入れ方について疑問を持つ方もいるかもしれません。ここでは、よくある質問について詳しく解説します。
キヌアはどこで購入できますか?
キヌアは、スーパーマーケットや自然食品を扱う専門店、オンラインショップなどで購入できます。一般的なスーパーでは精白されたキヌアが販売されていることが多く、オーガニックショップや健康食品店では、有機栽培のものや赤キヌア・黒キヌアといった種類も見つけやすいです。通販サイトでは、さまざまなブランドのキヌアが販売されており、好みや用途に合わせて選ぶことができるでしょう。
キヌアのカロリーはどのくらい?
キヌアのカロリーは、乾燥状態で100gあたり約340kcal、炊いた状態で100gあたり約120kcal程度です。白米と比較すると、炊いた状態ではややカロリーが低く、食物繊維やたんぱく質を含むことから、主食として取り入れやすい食品です。食事に取り入れる際は、食べる量や他の食材とのバランスを考慮しながら活用すると、無理なく続けられるでしょう。
キヌアはダイエットに適している?
キヌアは、食物繊維やたんぱく質を含むことから、バランスの取れた食事を意識する方に取り入れやすい食品です。炊くと膨らむため、少量でも満足感が得やすい点も特徴です。主食の一部をキヌアに置き換えることで、食事のバリエーションを増やしながら活用できます。サラダやスープに加えるなど、日常の食事に取り入れることで、無理なく続けやすいのもポイントです。
まとめ
キヌアは、たんぱく質や食物繊維、ミネラルやビタミンを含む栄養価の高い食品で、主食としてだけでなく、スープやサラダ、デザートなどさまざまな料理に活用できます。グルテンフリーでありながら、しっかりとした食感とナッツのような風味が特徴で、幅広い食事スタイルに適しています。
調理方法も簡単で、炊飯器やフライパン、電子レンジを使って手軽に炊くことができます。さらに、アレンジ次第で飽きずに楽しめるため、日常の食事に取り入れやすいのが魅力です。保存方法を工夫すれば、長期間品質を保つことができ、必要なときにすぐに使えるのも便利なポイントです。
食べる際には、サポニンをしっかり洗い流してから調理し、適量を守ることで、美味しく取り入れられます。市販のキヌアはスーパーやオンラインショップなどでも購入でき、用途に応じた種類を選ぶことで、より自分に合った食べ方ができます。
栄養バランスを考えた食事の一部としてキヌアを取り入れることで、無理なく健康的な食生活を続けることができます。主食の代替や食事のアクセントとして活用しながら、自分に合った方法で楽しんでみてはいかがでしょうか。