近年、健康志向の高まりとともに「スーパーフード」への注目が集まっています。
その中でも、特に話題となっているのが「クコの実」です。
SNSや美容雑誌でも頻繁に取り上げられ、海外の方も多く愛用していることから、日本でも関心が集まっています。
クコの実は小さな赤い実でありながら、健康・美容・薬膳という3つの分野すべてにわたって驚くべき魅力を秘めています。
古代中国では「不老長寿の薬」として皇室でも珍重され、楊貴妃が美しさを保つために毎日欠かさず食べていたという歴史的な逸話も残っているほどです。
現代の栄養学においても、40種類以上の豊富な栄養成分が科学的に確認されており、目の健康サポート・抗酸化作用・免疫力維持など、現代人が求める健康効果が期待されています。
しかし「どうやって食べればいいの?」「本当に体に良いの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
特徴や効果を理解することで、無理なく健康や美容のサポートに役立てられるでしょう。
今回はクコの実について、基本的な知識や具体的な取り入れ方などを紹介します。
クコの実とは?

クコの実(学名:Lycium barbarum、Lycium chinense)は、ナス科クコ属の植物の果実です。
英語では「Goji Berry(ゴジベリー)」や「Wolfberry(ウルフベリー)」という名前で呼ばれています。
主な原産地は中国ですが、日本でも一部地域で栽培されており、国産のクコの実も手に入るようになりました。
見た目は小さな楕円形で、鮮やかな赤みのあるオレンジ色をした美しい果実です。
乾燥させたものはレーズンのようなもちもちとした食感で、甘酸っぱい味が特徴となります。
生の状態では少しほろ苦い味ですが、乾燥させることで甘みがぎゅっと凝縮され、フルーティーな香りが楽しめます。
クコの実と中国文化との関わりはとても深く、3000年以上もの長い歴史があります。
中国の伝統医学では「枸杞子(くこし)」と呼ばれ、古くから薬膳料理の大切な食材として大事にされてきました。
特に有名なお話として、楊貴妃もクコの実を日常的に摂取していたという逸話が残されています。
また、中国の古典医学書「神農本草経」にもクコの実について詳しく書かれており、その価値の高さが古代から認められているのです。
薬膳の考え方では、クコの実は体をやさしく温めてくれる性質があるとされ、肌寒い秋冬の季節にぴったりの食材として親しまれています。
近年でも中国では、スープやお粥・お茶などに加えて日常的に摂取されており、家庭料理に欠かせない食材です。
クコの実が持つ健康と美容への効果とは

日常生活で不足しやすい栄養素はたくさんあります。
そんな中、クコの実が注目される理由は、その豊富な栄養成分にあります。
特に、ミネラルやビタミン・抗酸化物質などがたっぷりと含まれており、日々の栄養バランスをサポートしてくれる食材として、多くの方に選ばれています。
また、小さな果実でありながら栄養が多く詰まっているため、手軽に栄養補給ができる点も魅力です。
豊富なミネラルによる心身のバランス維持
クコの実には、現代人に不足しやすいミネラルがたっぷりと含まれています。
ミネラル成分 | 含有量(100gあたり) |
カリウム | 1,400mg |
鉄 | 4.0mg |
マグネシウム | 98mg |
カルシウム | 96mg |
亜鉛 | 2.7mg |
これらのミネラルは、体の中でさまざまな働きをしてくれる栄養素です。
カリウムは体内の水分バランスを、鉄は酸素を体中に運ぶお手伝いを、マグネシウムは筋肉や神経の健やかな働きをサポートしてくれます。
現代の食生活では、どうしても加工食品を摂ることが多くなりやすく、これらのミネラルが不足しやすい傾向があります。
そのため、クコの実のような天然の食材からミネラルを摂取することが、日々の栄養バランスを整える一助となるでしょう。
ルテイン・ゼアキサンチンによる目の健康効果
クコの実には、カロテノイドの一種であるゼアキサンチンがたっぷりと含まれています。
ゼアキサンチンは、目の網膜の黄斑部に存在する大切な色素成分です。
現代社会では、パソコンやスマートフォンを使う時間が長く、目を酷使してしまいます。
そのような生活環境でゼアキサンチンを含む食材を摂取することは、目の健康を大切に思う方々から関心を集めています。
ゼアキサンチンは体の中では作ることができないため、食事から摂取する必要がある栄養素です。
クコの実は、このゼアキサンチンを自然な形でやさしく摂取できる、とても貴重な食材の一つとなっています。
生活習慣が気になる方の栄養バランスをサポート
食生活の変化や運動不足によって、生活習慣を気にされる方が増えています。
そのような方々には、バランスの取れたお食事と適度な運動を心がけることが大切と言われています。
特に、食物繊維やカリウムなどは、健康的な食生活を心がける方にとって大切にしたい栄養素です。
クコの実は食事の一部として、ほかの野菜や果物と一緒に摂取すると良いでしょう。
βカロテンやビタミンCの抗酸化作用によるエイジングケアサポート効果
クコの実には、βカロテンやビタミンC・ポリフェノールなどの抗酸化物質が多く含まれています。
これらの成分は、体内の活性酸素に立ち向かう性質を持ちます。
βカロテンは体内でビタミンAに変わり、お肌や粘膜の健康維持をサポートしてくれるでしょう。
ビタミンC(29mg/100g)は、コラーゲンの生成に関わり、美容面で関心をお持ちの方に注目されている栄養素です。
現代は、ストレスや紫外線・大気汚染などによって、体内の酸化ストレスが増加しやすい環境にあります。
抗酸化物質を含む食材を日常的に摂取することが、健康的な生活を維持するうえで役立つでしょう。
ナイアシンによるダイエットや代謝のサポート
クコの実には、ナイアシン(3.7mg/100g)というビタミンB群の仲間が含まれています。
ナイアシンは、体内のエネルギー作りに関わる大切な栄養素です。
糖質や脂質・タンパク質の代謝に関わり、体内でエネルギーを効率よく作り出す過程で重要な役割を果たしています。
現代人の忙しい生活では、効率的なエネルギー作りが求められており、ナイアシンを含む食材への関心が高まっています。
ただし、健康的な代謝やダイエットを心がける方には、食事とともに適度な運動や生活習慣の見直しも大切です。
クコの実を健康的な食生活の一部として、無理なく取り入れましょう。
ビタミンB群による睡眠・疲労回復効果
クコの実には、ナイアシンをはじめとするビタミンB群が多く含まれています。
現代社会では、お仕事や日常生活のストレスによって、質の良い睡眠や疲れの回復に関心を持つ方が多くなっています。
ビタミンB群は、神経系の健康維持に関わる栄養素として知られており、健康的な生活リズムを心がける方々に注目されています。
ただし、良い睡眠や疲れの回復には、栄養面だけでなく、適切な睡眠時間の確保や生活リズムの調整・ストレスケアなども重要です。
クコの実の効果的な食べ方

クコの実の豊かな栄養成分を効率よく摂取するには、自身に合った食べ方を見つけることが大切です。
さまざまな摂取方法がありますが、それぞれ別の特徴を持ちます。
ここでは、オススメの食べ方をいくつか紹介します。
そのままドライフルーツとして食べる
最も手軽で簡単な食べ方は、ドライフルーツとして味わう方法です。
おやつ感覚で気軽に摂取でき、外出先でも簡単に栄養補給が行えます。
そのまま食べる場合の目安は、1日10~20粒程度(約15~20g)がオススメです。
朝食後や午後のちょっとした休憩時間に取り入れると、習慣化しやすく無理なく続けられるでしょう。
また、よく噛んで食べると満足感も得られ、間食の代わりとしても楽しめます。
ヨーグルトやスムージーにトッピングする
ヨーグルトやスムージーにクコの実をトッピングすることで、風味が増すだけでなく栄養もプラスできます。
特に朝食での摂取は、1日のスタートに必要な栄養素を効率よく補給でき、良い1日をスタートできるでしょう。
ヨーグルトとの組み合わせでは、プレーンヨーグルト150gにクコの実10~15粒をトッピングするのがオススメです。
ビフィズス菌との相乗で腸内環境の調整に期待でき、カルシウムとマグネシウムの組み合わせで骨の健康維持にも役立つでしょう。
スムージーでの活用では、バナナやりんご・豆乳と一緒にミキサーで混ぜる方法が人気です。
事前に水に5分程度浸しておくことで、より滑らかな食感になって美味しく食べれます。
ビタミンCが豊富な柑橘類と組み合わせると、鉄分の吸収がサポートされる特徴もあります。
また冷凍フルーツを使用することで、ひんやりとした飲み心地を楽しめ、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜を加えると、ミネラルバランスがさらに向上するでしょう。
アサイーやブルーベリーとの組み合わせで、抗酸化物質を豊富に摂取することも可能です。
お粥や炊き込みご飯に混ぜる
お粥や炊き込みご飯に加えることで、日本の食文化にも馴染みやすくなります。
消化に良く、胃腸にやさしい摂取方法として知られており、風邪気味の時や体調が優れない時にも適しています。
炊き込みご飯での活用では、お米2合に対してクコの実大さじ1程度を加えて炊く方法が一般的です。
鶏肉や根菜類と一緒に炊き込むと、栄養バランスがさらに向上し、見た目にも食欲をそそる仕上がりになります。
普段の食事に取り入れられ、家族で栄養価の高い食事を楽しめるでしょう。
紅茶・ハーブティーに加えてクコ茶として飲む
クコの実を紅茶やハーブティーに加えることで、栄養摂取と水分補給を同時に行えます。
基本のクコ茶の作り方では、クコの実10~15粒をカップに入れ、80~90度のお湯を注いで3~5分間蒸らします。
お好みで蜂蜜を加えると、より飲みやすくなるでしょう。
紅茶との組み合わせでは、紅茶にクコの実5~10粒を加えて蒸らす方法が人気です。
カフェインと組み合わせて楽しむと、集中したい時や午後のティータイムにも活用できます。
ハーブティーとの組み合わせでは、カモミールやローズヒップ・ルイボスティーなどとの相性が良いとされています。
ノンカフェインなため、就寝前でも安心して飲めるでしょう。
また、リラックス成分のあるハーブと組み合わせることで、より深い癒しの時間を過ごせます。
デザートのアクセントに加える
クコの実をデザートのアクセントとして加えることで、甘いものを楽しみながら栄養補給が行えます。
甘酸っぱい味わいが、さまざまなデザートの味を引き立ててくれるという特徴もあります。
チーズケーキのトッピングでは、レアチーズケーキやベイクドチーズケーキの上にクコの実を散らす方法がイチオシです。
チーズのコクとクコの実の酸味が絶妙なバランスを生み出します。
フルーツサラダへの活用では、季節のフルーツと一緒にフルーツサラダに加える方法が人気です。
りんごやキウイ・オレンジなどとの相性が良く、ヨーグルトドレッシングをかけることで、より健康的なデザートになります。
手作りグラノーラでは、オートミールやナッツ類と一緒にオーブンで焼く方法があります。
朝食やおやつとして、栄養価の高いデザートとして楽しめ、蜂蜜やメープルシロップで甘みを調整することで、お好みの味に仕上げられます。
クコの実を使ったレシピ集

クコの実の栄養価を最大限に活かした、美味しく健康的なレシピを紹介します。
薬膳料理からスイーツまで、さまざまなシーンで楽しめるメニューを集めました。
どのレシピもご家庭で簡単にお作りいただけるため、クコの実の豊富な栄養成分を気軽に摂取できるでしょう。
手羽元で作る簡単サムゲタン風スープ
韓国の伝統料理サムゲタンをクコの実でアレンジした、体がほんのり温まる薬膳スープです。
手羽元を使用することで、コラーゲンもたっぷりと含まれます。
美容を意識する方にも、人気の一品です。
材料(4人分)
・鶏手羽元:8本
・クコの実:大さじ2
・長ねぎ:1本
・白米:1/2カップ
・生姜:1片
・にんにく:2片
・水:1200ml
・塩:小さじ1
・白胡椒:少々
・ごま油:小さじ1
作り方
1.手羽元は熱湯で下茹でし、アクをやさしく取り除きます
2.生姜とにんにくは薄切りに、長ねぎは斜め切りにします
3.鍋に水、手羽元、生姜、にんにくを入れて強火にかけます
4.沸騰したら弱火にし、アクを取りながらゆっくりと30分煮込みます
5.白米とクコの実を加え、さらに20分じっくりと煮込みます
6.長ねぎを加えて5分煮込み、塩と白胡椒でお好みの味に調えます
7.仕上げにごま油をほんのり垂らして完成です
干し貝柱とクコの実の薬膳中華粥
干し貝柱の旨味とクコの実の甘酸っぱさが心地よくマッチした、滋養豊富な中華粥です。
消化に良く、体調を気遣う時にもやさしく寄り添ってくれる一品となります。
材料(4人分)
・白米:1カップ
・干し貝柱:4個
・クコの実:大さじ2
・水:1500ml
・鶏ガラスープの素:小さじ2
・生姜:1片
・小ねぎ:3本
・塩:少々
・白胡椒:少々
・ごま油:小さじ1
作り方
1.干し貝柱は水に2時間以上浸けてやさしく戻し、手でほぐします
2.白米は水で洗い、30分間浸水させます
3.生姜は千切りに、小ねぎは小口切りにします
4.鍋に米、水、戻した貝柱(戻し汁も含む)を入れて強火にかけます
5.沸騰したら弱火にし、時々やさしくかき混ぜながら40分煮込みます
6.クコの実と生姜を加え、さらに10分煮込みます
7.鶏ガラスープの素、塩、白胡椒でお好みの味に調えます
8.器に盛り、小ねぎとごま油をトッピングして完成です
ちょっと本格的な薬膳火鍋
家庭で楽しめる、本格的な薬膳火鍋のレシピです。
クコの実をはじめとした薬膳食材をふんだんに使用し、体の芯からほんのりと温まる健康的な鍋料理となっています。
材料(4人分)
クコの実:大さじ3
なつめ:6個
当帰:1片(漢方薬局でお求めいただけます)
陳皮:2片
生姜:2片
鶏ガラスープ:1500ml
豚バラ肉:300g
白菜:1/4個
春菊:1束
えのき茸:1パック
豆腐:1丁
春雨:100g
醤油:大さじ2
料理酒:大さじ2
塩:小さじ1
作り方
1.クコの実・なつめ・当帰・陈皮は水で軽く洗い、ザルに上げます
2.生姜は薄切りにします
3.鍋に鶏ガラスープを入れ、薬膳食材と生姜を加えてゆっくりと20分煮出します
4.醤油、料理酒、塩でお好みの味に調えてスープの完成です
5.豚肉は食べやすい大きさに切り、野菜類も適当な大きさに切ります
6.春雨は戻しておきます
7.スー-を火鍋用のお鍋に移し、具材を入れて煮込みながらお楽しみください
8.お好みでごまだれやポン酢でお召し上がりください
スイーツで楽しむ杏仁豆腐・抹茶スイーツアレンジ
中華デザートの代表格である杏仁豆腐にクコの実をトッピングした、美容を意識する方にも人気のスイーツです。
抹茶バージョンも併せて、紹介します。
杏仁豆腐(4人分)
牛乳:400ml
砂糖:50g
粉ゼラチン:5g
水:大さじ3
アーモンドエッセンス:小さじ1/2
クコの実:20粒程度
シロップ
水:200ml
砂糖:40g
レモン汁:小さじ1
作り方
1.粉ゼラチンを水でやさしくふやかします
2.鍋に牛乳と砂糖を入れて温め、砂糖を完全に溶かします
3.火を止めて、ふやかしたゼラチンとアーモンドエッセンスを加えます
4.型に流し入れ、冷蔵庫で2時間以上冷やし固めます
5.シロップの材料を鍋で煮立て、冷ましておきます
6.クコの実は水で戻し、シロップに加えます
7.杏仁豆腐を器に盛り、クコの実入りシロップをやさしくかけて完成です
抹茶バージョンでは、牛乳に抹茶パウダー大さじ1を加えてお作りください。
抹茶のほろ苦さとクコの実の甘酸っぱさが心地よくマッチした、和風スイーツとしてお楽しみいただけます。
朝食向けスムージー&オートミール
栄養たっぷりの朝食メニューとして、クコの実入りスムージーとオートミールもオススメです。
忙しい朝でも手軽に作れるうえ、1日のスタートにぴったりの栄養が補給ができます。
クコの実入りベリースムージー(2人分)
・クコの実:大さじ1
・冷凍ブルーベリー:100g
・バナナ:1本
・プレーンヨーグルト:150g
・豆乳:200ml
・蜂蜜:大さじ1
作り方
1.クコの実は水に5分浸けてやさしく戻します
2.すべての材料をミキサーに入れて滑らかになるまで撹拌します
3.グラスに注ぎ、お好みでクコの実を飾って完成です
クコの実入りオートミール(2人分)
・オートミール:80g
・クコの実:大さじ1
・牛乳:300ml
・バナナ:1本
・くるみ:適量
・蜂蜜:大さじ1
・シナモンパウダー:少々
作り方
1.クコの実は水で戻しておきます
2.鍋にオートミールと牛乳を入れて弱火でゆっくりと5分煮ます
3.とろみがついたら火を止め、蜂蜜を加えてやさしく混ぜます
4.器に盛り、スライスしたバナナ、クコの実、くるみをトッピングします
5.仕上げにシナモンパウダーをほんのり振って完成です
これらのレシピは、クコの実の豊富な栄養成分を美味しく摂取できます。
日々の食事に取り入れて、健康的な食生活をお楽しみください。
まとめ
クコの実とは、3000年以上もの長い歴史を持つ中国原産のナス科クコ属の果実で、現代では「スーパーフード」として注目される栄養価の高い食材です。
小さな果実でありながら40種類以上もの栄養成分が多く詰まっており、カリウムや鉄・ゼアキサンチン・ビタミンCなど、現代人に不足しやすい栄養素がたっぷりと含まれています。
また、心身のバランスや目の健康・抗酸化成分など、さまざまな健康面での特徴があります。
そのままドライフルーツとして食べたり、ヨーグルトやスムージーにトッピングしたり、お茶に加えたりと、日常の食事に取り入れており、1日10~20粒程度という少量で手軽に栄養摂取ができるため、無理なく習慣化できるでしょう。
忙しい現代生活において、栄養がたくさん詰まった食材を毎日の食事に取り入れることは、健康維持にとって大切なことです。
日々の暮らしを支える習慣として、クコの実を取り入れてみてはいかがでしょうか。