健康志向やダイエット志向の高まりとともに、オートミールが注目を集めています。
栄養価が高く、食物繊維が豊富なオートミールは、美容や健康を意識する方々から人気を集める食材です。
しかし、オートミールにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や調理方法が異なることをご存じでしょうか。
本記事では、オートミールの種類や選び方、レシピごとのおすすめタイプについて詳しく解説します。
オートミールとは?大麦や小麦との違いと基本知識

オートミールとは、オーツ麦(燕麦)を食べやすく加工した食品です。
「オーツ(oats)」と「ミール(meal:食事)」を組み合わせた言葉で、欧米では古くから朝食の定番として親しまれてきました。
オートミールの原料となるのは、オーツ麦からもみ殻だけを取り除いた「オートグローツ」です。
オートグローツは別名ホールオーツとも呼ばれ、すべてのオートミールのもととなっています。
オートグローツは外皮や胚芽が残った全粒穀物のため、栄養素が豊富に含まれています。
このオートグローツをさまざまな方法で加工することで、調理しやすく食べやすいオートミールが作られます。
大麦や小麦との違い
オートミールの原料であるオーツ麦は、小麦や大麦と同じイネ科の植物ですが、栄養価や加工工程には大きな違いがあります。
最も大きな違いは、オーツ麦は小麦と異なり「グルテン」というたんぱく質を含んでいない点です。
ただし、製造工程で小麦を扱う工場と同じラインで加工される場合、微量の小麦が混入する可能性があります。
そのためグルテンフリー生活を送りたい方は、パッケージに「グルテンフリー認証」の表示があるかを確認することをおすすめします。
また大麦と比較すると、オートミールはマグネシウムや鉄分が約2倍以上含まれています。
精白されていないオートミールは、ビタミンB群・ミネラル、そして豊富な食物繊維を含む栄養価の高い食品です。
このうち食物繊維は白米の約19倍も含まれており、腸内環境を整えるサポートが期待できます。
中でも「β-グルカン」という水溶性食物繊維は、血糖値の上昇や脂肪の吸収を穏やかにする働きがあるといわれています。
食物繊維が豊富で腹持ちが良く、食後の血糖値上昇を示すGI値も低いため、ダイエットや健康維持をサポートする食材として人気を集めています。
詳しくは「オートミールの栄養とは?タンパク質量とその効能・おすすめの食べ方を紹介」もあわせてご覧ください。
オートミールの種類は7つ!それぞれの特徴とおすすめの使い方

オートミールは、加工方法によって7つの種類に分けられます。
それぞれ食感や調理時間・向いている料理が異なるため、用途に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、オートミールの全種類について、それぞれの特徴とおすすめの使い方を詳しく解説します。
スティールカットオーツ
スティールカットオーツは、オートグローツを2〜3個に割ったものです。
別名カットオーツやアイリッシュオーツとも呼ばれます。
オートミールの種類の中では最も無加工に近いタイプで、外皮や胚芽が残っているため栄養価が高いのが特徴です。
粒が大きく粘り気が少なく、プチプチとした食感が楽しめます。
またしっかり噛めるため、咀嚼回数が多くなり、満腹感を得やすい傾向もあります。
味付けされていないため、オーツ麦ならではの風味をそのまま味わえるのも特徴です。
スティールカットオーツは他のオートミールと異なり、割っただけの生の状態であるため、食べるには約20〜30分ほどじっくり煮たり炊いたりする必要があります。
食べ応えのあるスティールカットオーツは、お粥やリゾット・ピラフなど煮込み料理に最適です。
玄米に似た食感を生かして、玄米などの代わりに使うこともできます。
ロールドオーツ
ロールドオーツは、蒸したオートグローツをローラーで押し麦のように平たく伸ばし、乾燥させたものです。
日本のスーパーで最も取り扱いが多く、入手しやすいオートミールです。
また価格もお手頃なため、自分に合うものが選びやすく続けやすいのが魅力です。
麦の形が残っており、プチっとした食感も楽しめます。
粒はやや大きく粘り気が少ないため、しっかり噛めて満腹感を得やすい傾向があります。
そのままでも食べられないことはありませんが、硬くて食べにくいため、加熱調理がおすすめです。
煮込む場合は、約5〜10分ほどで食べられるようになります。
オートミールを米化して食べるのに最も適しているのも、ロールドオーツです。
お粥やリゾット・オートミールクッキーやグラノーラなど、さまざまな料理に活用できる汎用性の高さも魅力です。
クイックオーツ
クイックオーツは、ロールドオーツを細かく砕き、小さな粒状にしたものです。
粒が細かいため水分の浸透が他のオートミールと比べて早く、素早く調理ができます。
必要な加熱時間が約1〜2分ほどと短く、手軽に食べられるため、オートミール初心者の方にもおすすめです。
クイックオーツは粒が細かいので、汁気の多い料理に向いています。
温かいスープにそのまま入れると、もちっとした食感を楽しめます。
雑炊やリゾットのようにして食べるのもおすすめです。
また小麦粉の代わりとして、クッキーをはじめとしたお菓子などにも利用できます。
さっと食べたい方や、オートミールを使ったアレンジ料理をしたい方にぴったりです。
インスタントオーツ
インスタントオーツは、ロールドオーツを調理して乾燥させたものです。
一度調理されているのでそのまま食べることができ、加熱する場合も短時間で調理できます。また味付けされているものが多いのも、インスタントオーツの特徴です。
お湯や牛乳をかけてすぐに食べられる手軽さは、オートミールを初めて食べる方にもぴったりです。
インスタントオーツは、忙しい朝に手軽に準備できるシリアルとしても人気があります。
そのまま食べられますが、牛乳やヨーグルトをかけて食べるとよりおいしく楽しめます。
またスムージーに混ぜたり、オーバーナイトオーツ(オートミールを水や牛乳と一緒に容器に入れて冷蔵庫でひと晩寝かせたもの)として楽しんだりするのもおすすめです。
スコティッシュオーツ
スコティッシュオーツは、スティールカットオーツをより細かく砕いたものです。
スティールカットオーツよりは粒が小さいため、栄養価の高さを保ちながらより短い時間で調理できます。
粉状に近い形状のため、水分をよく吸収しなめらかで食べやすい食感に仕上がり、お粥やポリッジなどのとろみのある料理に最適です。
日本ではあまり市販されていませんが、もっちりとした食感を楽しみたい方におすすめです。
オーツブラン
オーツブランとは、オーツ麦を製粉する過程で出る、オーツ麦の外皮の粉のことを指します。
オートブランやえん麦ふすまとも呼ばれます。
オーツブランはオートミールの中では最も栄養価が高く、特に「β-グルカン」という水溶性の食物繊維や、ミネラルを多く含んでいます。
食物繊維の含有量が非常に豊富で、腸内環境を整えるサポートに役立つことが期待できます。
白米でいうところの米ぬかに相当し、栄養が凝縮されている部分をそのまま食べることができます。
オーツブランは粉状で、香ばしくつぶつぶとした噛みごたえのある食感が楽しめますが、味や食感が独特なため、そのまま食べるのにはあまり向いていません。
お粥にしたり、クッキーなどお菓子の材料にしたりするのがおすすめです。
一般的なオートミールと比べて糖質が少ないため、健康志向の高い方に人気があります。
オーツフラワー
オーツフラワーは、オートミールを粉に挽いたものです。
日本ではあまり市販されていませんが、小麦粉の代わりに使うことができます。
パン生地に混ぜ合わせて焼き上げれば、ハードタイプのパンのようなガッチリとした食感も楽しめます。
オーツフラワーにはグルテンが含まれていないので、グルテンフリーのお菓子作りに最適です。
クッキーやマフィン・パンケーキなど、さまざまな焼き菓子に使用できます。
ただし、小麦粉と同じレシピではうまく膨らまない、生地が扱いにくいなど異なる部分があることに注意が必要です。
市販品が手に入りにくい場合は、ロールドオーツやクイックオーツをフードプロセッサーで粉砕して自作することもできます。
調理方法別のオートミールの選び方

オートミールは、種類によって適した調理方法が異なります。
ここではレシピや調理法をもとに、それぞれの料理に最適なオートミールを紹介します。
用途に合わせた選び方をマスターして、オートミール料理のレパートリーを広げましょう。
おかゆ・リゾット・ポリッジにはロールドオーツ・クイックオーツ・スコティッシュオーツ
お粥やリゾット・ポリッジなど汁気の多い料理には、ロールドオーツやクイックオーツ・スコティッシュオーツが向いています。
ロールドオーツは約5〜10分ほど煮込むと食べられるようになり、プチっとモチっとした食感が楽しめるため、粒感を楽しみたい方におすすめです。
クイックオーツは約1〜2分の加熱で完成し、もちっとした食感になります。
温かいスープにそのまま入れるだけでも調理できるため、時短調理に最適です。
スコティッシュオーツは細かく砕かれているため、もっちりとなめらかな食感に仕上がることから、とろみのあるお粥やポリッジが好きな方にぴったりです。
調理のコツは、水分量を正確に測ること、そして加熱前によく混ぜて水を吸わせることです。
加熱後にかき混ぜることでダマになるのを防ぎ、ふんわりとした食感に仕上がります。
米化してご飯の代用品にするならロールドオーツ
オートミールを米化してご飯の代わりにする際は、ロールドオーツが最も適しています。
ロールドオーツは粒がしっかりしており、水分を加えて加熱すると米粒に近い食感になります。
失敗しないコツは、オートミール30gに対して水50mlという分量を正確に守ることです。
また、数分水に浸してから調理するのもポイントです。
電子レンジで約1分ほど温めた後、箸と箸を離して持ち、混ぜるのではなくささっと軽くほぐすことで、団子化を防げます。
鍋で調理する場合は、水分を飛ばすように弱火でじっくり煮込むことで、みずみずしい仕上がりになります。
米化したオートミールは、おかずに添えるだけでなく、オムライスやチャーハン・お茶漬けなど、さまざまな米料理にアレンジできます。
また、パスタのような味付けにしてもおいしく食べられます。
パン・焼き菓子・スイーツに使う小麦粉の代わりにはオーツフラワー
パンや焼き菓子・スイーツ作りに小麦粉の代わりとして使うなら、オーツフラワーが最適です。
グルテンが含まれていないため、小麦アレルギーやグルテンカットを実践している方にもおすすめです。
ただし、グルテンがないため、生地のつながりや膨らみは小麦粉と異なります。
全量を置き換えると食感が変わるため、小麦粉の一部をオーツフラワーで代用するか、グルテンフリーのレシピを参考にすることをおすすめします。
オーツフラワーが手に入らない場合は、ロールドオーツやクイックオーツをフードプロセッサーで粉砕して粉状にすることもできます。
オーバーナイトオーツ・スムージーにはクイックオーツやインスタントオーツ
オーバーナイトオーツやスムージーには、クイックオーツやインスタントオーツが最適です。
オーバーナイトオーツとは、オートミールを水や牛乳と一緒に容器に入れて冷蔵庫でひと晩寝かせたものです。
ひと晩寝かせることで、翌朝にはオートミールがやわらかく食べやすい状態になります。
クイックオーツやインスタントオーツは粒が細かいため、短時間で水分を吸収し、なめらかな食感に仕上がります。
加熱の必要がないため、忙しい朝でも手軽に栄養価の高い朝食を摂ることができます。
お好みのフルーツやナッツ・シリアルをトッピングすることで、さらにおいしく食べられます。
また、はちみつやメープルシロップ・ヨーグルトを加えるのもおすすめです。
さらに、ナッツやドライフルーツを入れ、仕上げにはちみつやココアパウダー・シナモンなどを加えると、心も満たされる朝食が手軽に完成します。
スムージーに混ぜる場合は、バナナやベリー類・ほうれん草などと一緒にミキサーにかけることで、飲みごたえのある栄養満点のスムージーになります。
オートミールを楽しむおすすめレシピ

オートミールは、さまざまな料理にアレンジできる万能食材です。
ここでは、栄養バランスが取れ、毎日の食卓に取り入れやすいおすすめレシピを紹介します。
甘いものからおかず系まで、幅広いレシピでオートミールを楽しみましょう。
ポリッジ
ポリッジは、オートミールを牛乳や水で煮込んだミルク粥のことです。
イギリスやアメリカで食べられている温かい朝食で、手軽に作れるうえ栄養価も高く、忙しい朝におすすめです。
作り方は簡単で、小鍋にオートミール30gと牛乳200ml・水100mlを加えて火にかけます。
沸騰するとすぐにお粥状になるため、好みの硬さになるまで煮ればOKです。
トッピングとして、フルーツやナッツ・はちみつ・シナモンなどを加えると、より風味豊かに仕上がります。
また、水を牛乳に置き換えてミルク粥にしたり、日本のお粥と同じく鶏ガラなどの出汁で作るのもおすすめです。
出汁が効いた馴染みのある味わいなら、オートミール初心者でも食べやすいでしょう。
グラノーラ
グラノーラは、オートミールにメープルシロップやはちみつなどの甘いシロップを絡めてオーブンで焼き上げたものです。
サクサクの食感と甘みがおいしく、朝食やおやつに最適です。
グラノーラの魅力は、自分好みにアレンジできることです。
お気に入りのナッツやドライフルーツ・チョコレート・ココナッツなどを加えることで、オリジナルのグラノーラが作れます。
作り方は、オートミールにナッツやドライフルーツを加え、メープルシロップやはちみつを絡めてオーブンで焼くだけです。
焼き上がったグラノーラは、牛乳やヨーグルトをかけて食べるのが一般的です。
市販のグラノーラよりも糖分や添加物を控えられるため、健康志向の方にもおすすめです。
保存もきくため、まとめて作っておくと便利です。
パン・焼き菓子・クッキー
オートミールは、パンや焼き菓子・クッキーの材料としても活用できます。
小麦粉の一部または全量をオートミールで置き換えることで、栄養価の高いお菓子が作れます。
オートミールクッキーは、オートミールにバターや砂糖・卵を混ぜて焼くだけで簡単に作れます。
100gのオートミールに、薄力粉50g・バター60g・砂糖40g・卵1個・ベーキングパウダー小さじ半分を混ぜ、お好みでクルミやチョコチップ・レーズンなどを加えて180℃のオーブンで15分程度焼くだけで、ザクザクとした食感が楽しめるクッキーができます。
オーツフラワーを使えば、小麦粉の代わりとしてパンケーキやマフィンも作れます。
グルテンフリーのお菓子作りにも最適で、小麦アレルギーの方やグルテンカットしている人にもおすすめです。
自然な甘みと香ばしさが楽しめる、健康的なスイーツを作ってみましょう。
チーズナゲットなどおかず系
オートミールは、おかず系の料理にも活用できます。
ハンバーグのつなぎやナゲット・お好み焼きなど、さまざまな料理に使えます。
オートミールを使ったチーズナゲットは、子どもや男性にも人気のおかずです。
オートミール50gに熱湯80mlを加えてふやかし、ベーコンやクリームチーズ・パルメザンチーズ・卵・パセリを混ぜて成形し、焼き上げるだけで完成です。
おやつやおつまみとしてもおすすめで、タンパク質も摂れる栄養満点のメニューです。
他にも、オートミールに水を多めに入れて電子レンジで温めた後、ぐるぐる混ぜることで粘り気が出るため、お好み焼きやピザのベースとしても使えます。
甘いアレンジに飽きた方や、しっかり食べ応えのある料理を作りたい方にぴったりです。
自分に合った種類でオートミール生活を楽しもう
オートミールには7つの種類があり、それぞれ加工方法や食感・調理時間・向いている料理が異なります。
お粥やリゾットにはロールドオーツやクイックオーツ、米化にはロールドオーツ、小麦粉の代わりにはオーツフラワー、オーバーナイトオーツにはクイックオーツやインスタントオーツが最適です。
調理も簡単で、忙しい朝でも手軽に取り入れられるため、無理なく続けられます。
またオートミールは栄養価が高く、食物繊維やビタミン・ミネラルをバランスよく含む食品としても注目を集めています。
グルテンフリーであることも、健康志向の方に支持される理由の一つです。
ただし、製造工程で小麦が混入する可能性があるため、グルテンフリー生活を徹底したい方はグルテンフリー認証の表示がある製品を選びましょう。
オートミールを日々の食生活に取り入れることで、栄養バランスの取れた健康的な生活をサポートできます。
自分に合った種類を見つけて、オートミール生活を楽しみましょう。















