「ナッツはヘルシーなイメージがあるから」と、ついつい食べ過ぎてしまった経験はありませんか?
健康的なイメージのあるナッツですが、食べ過ぎることで、体調に影響が出ることもあるため注意が必要です。
この記事では、管理栄養士の視点からナッツの食べ過ぎが体に与える影響と、1日の適切な摂取量について詳しく解説します。
またナッツを食べ過ぎてしまった時の対処法や、健康的にナッツを楽しむためのポイントについてもお伝えします。
ナッツ好きの方はもちろん、これからナッツを取り入れたいと考えている方もぜひ参考にしてみてください。
ナッツの食べ過ぎで起こる体への影響とは

ナッツには、ビタミンEや不飽和脂肪酸・ミネラルなど、多くの体に良い栄養素が含まれている一方で、高カロリー・高脂質なのが特徴です。
そのため、適量を超えて摂取すると、体に悪影響を及ぼすおそれがあります。
ここでは、具体的にどのような影響が出るのかについて紹介します。
消化不良による腹痛や下痢・便秘
ナッツには、脂質が多く含まれています。
脂質は消化に時間がかかるため、大量に摂取すると胃の中に長時間残り、胃もたれや腹部膨満感の原因になることがあります。
特に体質や体調によっては、消化不良や胃もたれ・下痢などの症状が出ることもあるため、注意が必要です。
またナッツには、不溶性食物繊維も多く含まれています。
不溶性食物繊維は、適量なら腸内環境を意識する方に重宝される成分ですが、摂りすぎると便の水分が吸収されて硬くなり、かえって便秘の原因になることもあります。
皮脂分泌増加による肌荒れ・ニキビ
ナッツには良質な脂質が含まれており、肌の健康を気にする方から注目されています。
ただし、バターや砂糖などが使われている加工されたナッツは油分が多く、食べ過ぎると皮脂の分泌が多くなることがあり、肌のコンディションに影響を与える可能性も考えられます。
特に、チョコレートコーティングやキャラメル風味のナッツなどは、糖分も多く皮脂の過剰分泌に拍車をかけるため注意が必要です。
肌トラブルが気になる方は、素焼きや無添加のナッツを選ぶことをおすすめします。
カロリー過多による体重増加
ナッツのカロリーは種類によって異なりますが、100gあたり約600〜750kcalと非常に高カロリーです。
ナッツは小さくて食べやすいため、つい一度に多く食べてしまいがちですが、無意識のうちに摂取カロリーが増えやすい食品です。
そのため、適量を把握し、意識して食べることが大切です。
下記は、ナッツの種類別に示した100gあたりのカロリーです。
ナッツの種類 | 100gあたりのカロリー |
---|---|
アーモンド | 608kcal |
カシューナッツ | 591kcal |
くるみ | 713kcal |
マカダミアナッツ | 751kcal |
コレステロールや中性脂肪への影響
ナッツは脂質や食物繊維を含むことから、健康を意識する方に選ばれることが多い食品です。
しかし、ナッツは高脂質な食品のため、食べ過ぎによって脂質の摂取量が増えると、健康状態に影響を及ぼす場合があるため、摂取量には注意が必要です。
また食べ過ぎによって体重が増加すれば、それ自体が脂質異常の要因になり得ます。
脂質異常症の診断を受けている方は、さらに注意が必要です。
ナッツの1日の適量と食べ過ぎの目安

ナッツは健康的な栄養を効率よく補える食品ですが、いくら栄養価が高くても食べ過ぎると逆効果になります。
1日に摂取する適量を守り、ナッツの栄養を日々の食生活に無理なく取り入れることで、バランスのとれた食習慣をサポートできます。
ここでは、適量と食べ過ぎの判断基準を詳しく見ていきましょう。
食事バランスガイドで推奨されている間食の基準
厚生労働省と農林水産省が提唱している「食事バランスガイド」によると、間食の摂取目安量は1日あたり200kcal程度とされています。
間食としてナッツを摂取する場合は、この200kcal以内に収めることを心がけましょう。
ナッツ別の適量目安
1日あたり200kcalを目安にすると、間食としてナッツを食べる場合の適量は、およそ25〜30gです。
もちろんナッツの種類にもよりますが、粒数で換算すると以下のようになります。
ナッツの種類 | グラム | カロリー |
アーモンド | 28g(約20〜23粒) | 約160kcal |
カシューナッツ | 25g(約13〜15粒) | 約148kcal |
くるみ | 25g(約8〜10粒) | 約178kcal |
マカダミアナッツ | 25g(約12〜15粒) | 約188kcal |
このように、ナッツは種類によってカロリーや内容量に違いがありますが、どれも少量で200kcalに達してしまうため、適量を管理することがとても大切です。
また、ナッツを主食の一部や料理のトッピングとして使う場合は、食事全体のバランスを見ながら調整することが必要です。
脂質やカロリーが他の食材からも摂取されている場合、ナッツの量を少し控えめにすると、トータルの摂取バランスがとりやすくなります。
ナッツを食べ過ぎた時の対処法

万が一ナッツを食べ過ぎてしまった場合でも、適切な対処をすることで症状の軽減が期待できます。
ここでは、ナッツの過剰摂取が疑われる場合に実践したい対処法について、わかりやすく解説します。
水分補給で消化をサポート
ナッツを食べ過ぎた時は、まず十分な水分補給を心がけましょう。
水分を摂ることで、体内の水分バランスを保ちやすくなると考えられています。
摂取する水分は、冷たい水よりも常温の水や白湯の方が、体に優しく胃腸への負担も少ないとされています。
こまめに少量ずつ飲むことで、体内の水分バランスを整えながら体に優しくサポートできます。
一度に大量の水分を摂ると、かえって胃に負担がかかる可能性があるため、注意しましょう。
軽い運動で消化を促進
適度な運動は血行を良くし、体全体のコンディションを整えることで、体にとって良い習慣となります。
また、食べ過ぎた分のカロリーを消費できるという面でも、軽い運動は有効です。
ただし激しい運動は避け、体調に合わせて無理のない範囲で行うことが大切です。
ナッツを食べ過ぎたら一時的に中断して様子を見る
腹痛や消化不良などの症状が現れた場合は、一時的にナッツの摂取を中断し、体調の回復を待ちましょう。
無理に食べ続けることで、症状が悪化するリスクがあります。
また体調が回復した後も、しばらくは少量から様子を見ながら再開するのが望ましいです。
医療機関受診が必要な症状とは
激しい腹痛や嘔吐・下痢といった消化器症状が長時間続く場合や、蕁麻疹や呼吸困難といったアレルギー反応が見られる場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診しましょう。
特に発熱を伴う消化器症状がある場合や、症状が数日間改善しない場合には、注意が必要です。
また、ナッツアレルギーの可能性がある場合や、これまでに症状が出たことのない方は、重篤化を防ぐためにも早めの受診が望まれます。
適量の範囲であればナッツは毎日食べても問題ない

ナッツには体に必要なさまざまな栄養素が豊富に含まれているため、適量の範囲であれば、毎日食べても問題がありません。
特に以下の理由から、手軽に取り入れやすい食品のひとつとして日々の食生活に取り入れるのもおすすめです。
栄養バランスを意識する方に最適
現代人の食生活では、不足しがちな栄養素を効率的に補うことが課題です。
ナッツはたんぱく質や良質な脂質・ビタミンB群・マグネシウム・鉄分など、体に必要な栄養素を手軽に摂取できる優れた食品です。
特に忙しい朝をお過ごしの方や、外食が多く栄養が偏りやすい方にとっては、日々の栄養補助としても取り入れやすい食品です。
ナッツを毎日摂ることで得られる栄養価値
ナッツには、ビタミンEやオメガ3脂肪酸をはじめ、食物繊維やミネラルなどが豊富に含まれており、バランスの取れた食生活の一部としても活用されています。
抗酸化成分も含まれており、日々の食生活で重宝される食品として注目されています。
また、腹持ちがよいため、小腹がすいたときのおやつとしても取り入れられることがあります。
このような栄養価値を最大限に得るためには、塩や砂糖が添加されていない無添加タイプを選ぶことがおすすめです。
習慣にしやすいのがナッツの魅力
ナッツはそのまま食べられる手軽さや、常温で保存できる利便性から、忙しい日常の中でも無理なく続けられる食品です。
小分けパックを常備しておけば、オフィスや外出先でも手軽に健康習慣を維持できます。
さらに、素材本来の味を楽しめる素焼きタイプや、満足感のある小魚やドライフルーツと合わせたものなど、飽きずに楽しめるラインナップも人気の理由です。
健康的なナッツの食べ方とポイント

これまで説明してきたように、ナッツは栄養素が豊富ですが、高カロリー・高脂質でもあるため、摂り方を間違えると体に悪影響を及ぼすことがあります。
ナッツを日常的に取り入れる際には、いくつかのポイントを押さえることが重要です。
ここでは、健康的にナッツを楽しむための具体的なコツや注意点をわかりやすく解説します。
素焼き・無塩タイプを選ぶ
バランスのとれた食習慣へのサポートを期待してナッツを摂取する場合は、素焼きで無塩のタイプを選ぶことが重要です。
素焼きのナッツは余計な油や調味料が加えられておらず、ナッツ本来が持つ豊富な栄養素をそのまま摂取できます。
一方で、油で揚げられたナッツは脂質とカロリーが高くなりやすいため、過剰なエネルギー摂取の原因となります。
また、塩分が多く含まれていることも多いため、健康に悪影響を及ぼすおそれがあります。
さらにキャラメルやチーズなど、味付けがされたナッツもできるだけ避けましょう。
食べる時間帯を工夫する
ナッツは、活動量が多い朝から昼過ぎにかけて摂取するのが理想的とされています。
特に14〜16時ごろに間食として取り入れると満腹感が持続しやすく、夕食の食べ過ぎ防止にも役立ちます。
一方でナッツは脂質が多く、消化に時間がかかるため、夜遅くの摂取は避けた方が望ましいとされています。
特に就寝直前に多量のナッツを食べると、胃腸に負担がかかり、睡眠の質を下げる原因になることもあるため注意が必要です。
個包装を活用する
食べ過ぎを防ぐためには、個包装タイプのナッツを選ぶことをおすすめします。
個包装タイプは、1回分の適量があらかじめ決まっているため、つい食べ過ぎてしまうのを防ぎやすくなります。
また、1包装ごとのカロリーが表示されていることが多く、カロリー管理がしやすいのも特徴です。
さらに外出時にも持ち運びやすく、バッグやポーチに入れて手軽に携帯できます。
加えて、密封された状態で保存されるため、香ばしさや歯ごたえが損なわれにくいのも嬉しいポイントです。
なお大袋入りのナッツを食べる場合は、あらかじめ1日分を小皿や保存袋などに分けておくと良いでしょう。
小分けすることで適量を守りやすくなり、無意識に食べ過ぎてしまうリスクを減らせます。
まとめ
ナッツは健康に良質な脂質を含んだ栄養豊富な食品ですが、食べ過ぎると腹痛や肌荒れ・体重増加・血液中の脂質上昇など、さまざまな悪影響を引き起こすおそれがあります。
間食としてナッツを取り入れる際は、1日あたり200kcal以内を目安に摂取量を管理することが大切です。
もしナッツを食べ過ぎてしまった場合は、水分補給や軽い運動を取り入れ、腹痛や消化不良などの症状が出た場合は、一時的に摂取を中断しましょう。
またアレルギー症状が出たり症状が改善しない場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。
この記事を参考に、バランスの取れたナッツの食べ方を日々の食生活に取り入れ、毎日の健康づくりに役立ててください。